陥落
「そんなバカな...」
3学期が始まり廊下には2学期末試験の結果が掲示板に張り出されていた。
1:北条真樹菜 685点
2:市ケ瀬剛士 680点
3:本間夏帆 668点
4:大崎正 665点
5:伊達正義 661点
6:高坂章 652点
7:南部有紀 650点
8:結城秀幸 648点
8:根津川剛司 648点
10:斯波久遠 640点
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市ケ瀬くんは掲示板を見て呆然としていた。
一年生からの一位連続記録が途切れた瞬間だった。
「あちゃー、北条に抜かれちまったな、市ケ瀬。」
市ケ瀬くんの隣で一緒に掲示板を見ている冴子はざまあみろみたいな感じで市ケ瀬くんに言った。
「...む、むぅ。」
「北条は既に日本の高校レベルの勉強は修了してるって言ってたからなあ。」
「...お前のせいだな。」
「はあぁ?なんであたしのせいなんだ?」
「お前が俺の事を惑わせるからだ。」
「なんだよそりゃあ、人のせいにすんな!」
「勉強しててもお前のことばかり考えてたせいだ。」
「...知らねえよ。」
「お前があまりにも魅力的で...」
「おい、まだそれ、続くのか?」
「...」
「ったく、...弁当でも作ってきてやろうか?」
「!!ほんとか!」
「ああ、あたしにできることはそれくらいしかないからな。」
「やった!」
「...大げさな奴だな。」
市ケ瀬くんが天に向かってガッツポーズを捧げていた。
私はそんな二人のやり取りを微笑ましく見ていた。
「ふごーふごー、御燭寺ちゃん、結果どうだった?」
いつのまにか根津川くんは私の背後にいた。怖すぎる...
「ひっ!...私はまあまあかな。根津川くんはすごいね、八位じゃない。」
「御燭寺ちゃんにいいところ見せたくてね。これで俺のキモチわかってくれた?」
「んー、わかりたくないですねー。」
「よし!じゃあ、今日から俺の家で二人きりで勉強しよう!」
「なんでそうなるの。お断りします。」
「照れないでいいから。」
「照れてませんよ。」
もう、本当に勘弁してください。しつこすぎるよ...
げんなりして誰か周りに知ってる人がいたら話しかける感じで逃げようと探してみたら御手洗くんを見つけた。
「あ、根津川くん、ごめんね。ちょっと知り合いのところに行ってくる。」
「あ!御燭寺ちゃ~~~ん...」
私はダッシュでその場を逃げ出し御手洗くんのところに行った。
「御手洗くん!」
「あ、御燭寺さん。」
「試験どうだった?」
「いや、散々だよ。勉強苦手だしね。五十位圏外なので掲示板に俺の名前はない...御燭寺さんは二十八位か。すごいね。」
「んー。市ケ瀬くんのヤマのおかげだよ。」
「そうなんだ。」
「ね?見た?あの二人、最近良い感じだよ。」
「おっ?そうなんだ、それは良かった。」
「...本当に安心しきってるね。」
「ん?なんでだい?」
「んーん。なんでも。」
「...北条さんはどうしてる?」
「それが...今日、学校へ来てないんだ。」
「え?そうなのか...」
「心配?」
「そりゃあね...」
「...御手洗くん、ほんと、気苦労が絶えないね...」
「ははは、まあ、全部、自分のせいなんだけどね。」
「少し痩せた?」
「ん?どうかな?」
「ふごーふごー。」
背後にアノ気配を感じた。
「ひっ!」
「なんだよ~~~。二人はどういう関係~~~?」
根津川くんはまたいつのまにか私たちの背後にいて私たちを睨んでそう言った。
「えと、あの...私たちつきあってるの!ねっ、御手洗くん!」
私は話を合わせてくれるように御手洗くんに目配せをした。
「え!う、うん。」
「えええ!いつから?」
ずばばばっ!
根津川くんはビックリしてバック転をした。
...なんですか、あなたは。というか、バック転できるのですね。
「だいぶ前から。」
「なんだよ~~~。それならそうと言ってよ~。」
「ごめんね、秘密だったから。」
「じゃあ、さいなら~~~。」
根津川くんは側転を繰り返しながらその場を去っていった。
私たちはぽかんとそれを見ていた。
「...あいつ、ゲームだけじゃなかったんだ。体操もできるって今まで隠してたのか。...勉強もできるし、すごいな。」
「あ、それより、ごめんね。話を合わせてもらっちゃって。」
私は両手を合わせて御手洗くんに謝罪した。
「...いや、嬉しかったよ。」
「は?」
私は御手洗くんの返答にちょっととまどってしまった。




