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なんであなたは

「次はあれ、乗りますわよ!」

「おう。」


マキナ様は自分のせいでみんなが楽しめなくなるのを悟ったのか徐々に明るさを取り戻していった。

冴子もまた然り。


「なあ、御燭寺さん。京本のやつちょっと様子がおかしくないか?」


え?気になるのですか。

そうですか。

どこかキョどっていながらも心配そうに私に話しかける市ケ瀬くん。


「あれ?市ケ瀬くん。冴子のこと気になるの?」


などと茶化して言うのはやめておこう。


「ん、まあ、いろいろあるみたいだね...」

「そうか...」


ここで私はハッとあることを思いついた。

...もうすぐクリスマスだし。

一応、念のために言っておく?

いや、私の気のせいかもしれないし。

余計なお世話かもしれないし。


...いや、やっぱり、言っておこう。

何もしないで事態が悪化するのが一番最悪だ。


「市ケ瀬くんと冴子って良い感じだよね。」

「...そう、見えるか?」

「うんうん。」

「...よし。」

「冴子もまんざらではないと思う。ただね、もうちょっと待ってあげてくれないかな?」

「そうなのか?」

「うん、今はタイミングが悪すぎると思うよ。」

「そうか、助かったよ、御燭寺さん。的確なアドバイスありがとう。」

「いえいえ。」

「...できればタイミングの合う時を教えてほしいのだが無理か?」

「もちろん、協力しますよ。」

「悪いな。」

「いえいえ。うまくといくといいね。」

「...ああ。」


市ケ瀬くんはそう言うと恥ずかしそうにクイっと黒縁眼鏡を上にあげた。


やはり市ケ瀬くん、今日、冴子に告白するつもりだったんだ。


言っておいてよかった。

私は冴子たちがうまくいくようにバランサーになるよ。

しかし学年一の秀才が冴子のことをね。

意外だなあ...羨ましいな。

私はふわーっと背筋を伸ばし一息ついて後ろを振り返った。


「お?お?お?御燭寺ちゃん、俺のことが気になる?」


モッキー帽をかぶりながらフランクフルトをむしゃぶりついている根津川くんと目があった。


「気になりません!」


さらに根津川くんの後ろにいるきょんちゃんカップルも視界に入った。

腕を組みながら一つのフランクフルトを二人で食べている。

イチャイチャを通り越してベチャベチャしていた。

あらら...いいなあ。


根津川くんも私が後ろのきょんちゃんカップルを見ていることに気が付いた。


「ふごーふごー、御燭寺ちゃん、俺とアレやろう!」

「やりません!!」


ふと視線を前方に戻すといつのまにか市ケ瀬くんは冴子とマキナ様にソフトクリームを買ってあげて一緒に食べ歩いていた。

市ケ瀬くんはたまに冴子にド突かれていた。

そんなことをされても市ケ瀬くんの表情はどこかニヤっとしていて嬉しそうだった。

...もしかして市ケ瀬くんて...

Mなのか?

Sっぽい男の人って実はMだったりするってどこかの雑誌で見たことがある。


まあ、そんなことはどうでも良い。

...今日一番の心配事はみんなで遊び終わった後の事。


「佐藤んちいくぞ。」


冴子はいったい何をやる気なんだろう。

有事の際には私が止めなくては。


それにしても御手洗くん、どうしてマキナ様と別れたの?


(性転換手術をどう思いますの?)


前にマキナ様に言われた言葉。

マキナ様は実は前は男だったのか。

それが原因で別れたのか。


私はあれこれ考えすぎてせっかくのディスティニーランドを全然楽しめていなかった。


「ふごーふごー、御燭寺ちゃん、手を繋ごう。」


根津川くんはいつのまにか私の隣にいて私の手を握ってきた。


「ちょ、ちょっと!やめて!」

「照れないでいいから。」

「照れてません!」


私は手を振りほどき根津川くんから距離をとった。


「逃げなくていいから。」


根津川くんはそう言うと追いかける真似をした。


「根津川くんが変なことするからでしょう!」



あぶれものの私達は終始そんな感じでデスティニーランドを過ごした。

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