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そんな話は聞きたくない

俺の名は御手洗剛。

以下は割愛させていただく。


期末試験終了日の昼休みに俺はいつものように彼女と中庭のベンチでお昼を供にしていた。


「もうすぐ冬休みですわね。御手洗様。」

「ああ、そうだね。...どこか行きたいところある?」


「いえ。特にありませんわ。それよりも長い時間、御手洗様と一緒にいたいですわ。」

「うーん、甲斐性なしで申し訳ないけどお金も心もとないし。」


「...それなら私の家に来ませんか?」


意を決したように俺のマイヴィーはおっしゃった。


「え?いいのかい?」

「全然、構いませんわ。...ちょっと恥ずかしいですけれど。」

「うわー。嬉しいな。俺、女の子の部屋行くのはじめてなんだ!」

「...そんな、期待されても困りますわ。」


いったいどんな豪邸が俺を待ちうけているのかw。


冬休み初日。


俺たちは一旦、かわうその像で待ち合わせた。


「御手洗様!」


当たり前のように彼女は俺が待ち合わせ場所に着くより先に待っていた。


「ごめん、待ったかい?」

「ううん、今、来たとこですわw。」


何回このやり取りをしてきたことだろう。


彼女にガッチリと腕を組まれたまましばらく歩く。


「...ここですわ。」

「え?」


...嘘だろ。


畑だか空き地だがわからない土地の上にポツンとしたバラックに向って彼女は言った。


しばらく茫然として立ち尽くしていると


「...がっかりなさっているようですわね。」

「え?いや、そんなことないよ。1人でここに住んでいるのかい?」

「ええ。」

「ご両親は?」

「いませんわ。」

「え!?」

「あら、ごめんなさい。父も母も死んだわけではありませんことよ?」

「うん。」

「私たちが日本で暮らす条件として一切の援助をうちきってまして。父と母はギリシャにおりますの。」

「...お金とか大丈夫なのかい?」

「ええ、私自身の貯えもありましたし、あと1年くらいなら贅沢をしなければ十分一人でやっていけますわ。」

「...聞いていいのかな。」

「はい。」

「ご両親のこと嫌いなの?」

「いいえ、好きですわ。」

「ならどうして?」

「わたくしには姉がおりまして姉がどうしても日本で暮らしたいと。」

「うん。」

「父の事業がありますので家族で日本に引っ越すわけにも行かず、わたくしがお目付け役として一緒に日本で生活することになりましたの。」

「日本に着いた早々、父から十分にいただいた生活費のほとんどを姉に持ち逃げされまして。」

「なんですと!?」

「わたくしがふっと目をハズした時にですわ。」

「なんてことだ。」

「まあ、今となっては仕方がないですわ。」

「姉さんと仲は悪かったのかい?」

「わたくしは大嫌いですわ。向こうも多分、嫌っているのではないかしら。」


俺の彼女は高飛車な態度を取るがこうはっきりと嫌いだとか誰かを罵倒したりしたことは今までに見たことがない。

よほど自分の姉さんが嫌いなんだろう。


「...中に入るのおイヤ?」

「何を言っているんだい?せっかくマイヴィーの家にお誘いをいただいたのに入らないわけがないだろう。お邪魔するよ。」

「嬉しいですわ!」


俺の彼女はぴょん!とその場で飛び上がった。

...可愛すぎるだろ。


「...ということなのですので両親に余計な心配はさせたくなく、姉がお金を持ち逃げしたことは話してないですわ。」


彼女は俺にお茶を出しながらそう言った。


「なるほど、それでお弁当はひじきのことが多いのか。」

「...ごめんなさいね。本当はもっとおいしいお弁当を御手洗様に食べていただきたいのですが...」


それでもわざわざ、毎日、俺に弁当を作ってくれてただなんて...目頭が熱くなる。


「...マキナは高校卒業したらどうするつもりなんだい?」

「働くつもりですわ。私だけギリシャには帰れません。姉はどうした?って話になるでしょうから。」


「そうか...あのさ、キスすらしてないのにこんな話をするのは変だと思うけど。」

「?」

「高校卒業したら結婚しないか?」

「え!?」

「北条真樹菜さん、俺と結婚してください!!」

「!!」


俺の彼女はポロポロと涙を落とした。


「マキナ?」

「...ごめんなさい。すごく嬉しくて。...でも、わたくしでよろしくて?」

「キミじゃなければダメなんだ!」

「うれしい...ふふ、キスすらしてないなんてすればいいじゃないですか。...今からでも...それ以上のことも」

「マキナ...」

「みたらいさまぁ...」


...今まで触れたことがないような柔らかいものを俺の唇は感じた。


好きだ、好きだよ、マキナ。

俺はかつてこんなに人を好きだと思ったことがあっただろうか。


「マキナ、愛してる...」

「わたくしも...愛してますわ...」


再度、唇を重ねる。


...これからは何があっても2人で助け合い生きて行こう。

スーパーな俺たちなら何があっても乗り越えられるさ。

彼女を布団に押し倒した。


「みたらいさまぁ...あともうひとつ言っておきたいことが...わたくし、1年前まで男でしたの...」

「うんうん、何があっても...

        う、うわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

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