潜入!根津川邸
「うん、そこでジャンプ!そのタイミングで上上下下左右左右!」
TV画面上の女剣士は十文字に剣をふるった。
ジャイアントサラマンダーは爆発して消滅した。
「わああー!ところちゃん、うまい!」
「うんうん、なかなか筋がいいよ!御燭寺さん!」
「ありがとうございます!」
ここは根津川宅。
先日行われた合コンで市ケ瀬くんと根津川くんのお宅にとりあえず1回づつお邪魔するということで事態は収拾した。
生徒会長さんが間に入りそういう話に持っていってくれたのだ。
ただし、高校生が男女2人きりでは何かと問題があるので私に最低誰か1人同伴することが条件となった。
根津川宅にはきょんちゃん、市ケ瀬宅には冴子がつきあってくれることになっている。
「ふごー、ふごー。あ、二人とも飲み物なくなってるね。持ってくるよ、何がいい?」
「あたしはリンゴジュース!」
「私もそれで。」
「了解ですし。おすし!!」
そういうと根津川くんはドタドタと部屋を出て行った。
「面白いね!カイデン!」
「そぉだね...なんか目が疲れる。」
「あたしもこれ、カレシとやってるんだ。」
「そうなんだ。」
「あたしが初めてやった時よりもところちゃんのが全然うまいよ」
「あ、ほんと。というか褒められて嬉しくないってなんなんだろう。」
「あはっはー。それはところちゃんにとってどうでもいいことだからじゃない?」
「まあ、そうなんだけどね。」
そういうと私は根津川くんの部屋の中を見渡した。
アニメだかゲームだか知らないが美少女のポスターが壁に隙間なくビッシリと貼ってある。
机の横にあるキャスターにはほとんど全裸状態で剣を持っている美少女のフィギュアが飾ってあった。
「すごいなー。」
「ん?」
「美少女ポスターとか。こういうのがオタクってこと?」
「そうじゃない?てか、普通女の子が部屋にきたらこういうの隠すと思うんだけど。」
「そうだよねそうだよね。あのほとんど全裸の美少女の人形なんか見てるとこっちが恥ずかしくなる。」
「もしも根津川くんと付き合うとそういうカッコをさせられたりして。」
「え~~~、勘弁してください。」
「それは違う!」
根津川くんが扉を開けるやいなやそう叫んだ。
「2次元とリアルはまったくの別物ですよ。」
「はあ。」
「その辺はちゃんとわきまへております!」
「まあね、人の趣味をあれこれ言う資格は誰にもないよねー。」
「うんうん、そうそう、美少女キャラが好きで何が悪い!」
「悪くないぞぉ!」
なんだか根津川くんときょんちゃんは盛り上がっていた。
「よし、じゃあ続きやろっか!」
「イエーッサー!!」
「ほら!ところちゃんも!」
「え?え?エッサッサー!!」
「ブハァッー!!なにそれ!?アハハハハーw。」
きょんちゃんはりんごジュースを噴き出して大笑いしている。
隣の根津川くんは声を出さずに腹を抱えて転がっていた。
そんなにおもしろい?
つまんないと思うけど。
あ、人間テンション高くなるとつまらないことでも大笑いすることがあるっていうけどこういうことか。
...はぁ~疲れる。
目も疲れるしなんだか肩も凝ってきた。
さっきから私のスマフォもちょくちょく鳴ってるし多分真田くんからのメールなんだろう。
今までに50通くらいやりとりしてきたがなんの意味もないものばかりだった。
今日は天気がいいですね、今日は天ぷら食べました(画像付き)などなど。
会おうとか言いだしてこないのは不幸中の幸いだった。
来週の日曜日は市ケ瀬宅か。
それまでに願いを上書きできれば少しは楽になるかな?
そんなことを考えながらPSFのコントローラーを私は握りしめた。




