非協力プレイ
「あ!冴子おはよう!」
「おう!ところ、あたしも今来たとこ!」
今日は待ちに待ってない合コンの日曜日。
昨日の祝日の土曜日の次の日だ。
私は合コン会場のフレンチレストラン(といってもファミレスだが)に向かう前に冴子と落ち合う約束をした。
きょんちゃんは先にカレシと待っていることだろう。
それにしても昨日は衝撃的だった。
初めて会った知らないツヨシくんにメアドを教えてしまった。
...いやもう考えまい。
きっと市ケ瀬くんも根津川くんも私にアプローチしてくるだろう。
それもこれもあたしのふざけた呪い...もとい願いのせいだ。
自分で撒いた種は自分で回収しなければ。
私は意を決しファミレスのドアを開けた。
「いらっしゃいませえ!お二人様ですか?」
「いえ、予約した、一里塚の席のものです。」
「あ!そうでしたか。さ、こちらへどうぞ。みなさんお待ちかねですよ。」
店長らしき人がみずから私たちを席に案内してくれた。
「それではごゆっくりどうぞ。」
店長はそう言うと去っていった。
「こんにちは!」
「こんにちは!」
市ケ瀬くんと根津川くんが店長が去るやいなや私たちに挨拶する。
場を見渡せば私たちが一番遅かったようで全員揃っている。
「うわーー。滅茶苦茶気合入ってるー。」
冴子が私にそう耳打ちしてきた。
「...あはは。」
「...アハハ、ところ真ん中に座りな。」
「え!?」
「...あたし今日、やる気ないし。」
「わ、わかった...」
私は渋々と真ん中に座った。
「お、お、お、御燭寺さん何、頼む?あ、これメニュー。」
私の正面に座っている根津川くんはそう言うとメニューを私に差し出した。
「あ、ありがとう。」
ちらっと市ケ瀬くんを見るとなんだかムッとした顔をしてた。
さらに私の左隣に座っている冴子を見るとなんとスマフォをいじりだした。
(さ、冴子。さすがにそれはないんじゃない...)
「京本、それはないんじゃないか?」
「あ?」
「せっかくの合コンなんだ。スマフォなんかいじるなよ。」
「あーはいはい、悪かったわね。で、何、話す?」
あわわわ。
「はいはい。ちょっといいかな。」
きょんちゃんのカレシが冴子と市ケ瀬くんの険悪なムードを払拭するかのように話し出した。
「今日はみなさん、忙しいところ時間を割いて集まってくれてありがとう。」
「うんうん、まったくだ。」
うなずきながら市ケ瀬くんはボソリと言った。
(え?あなたがきょんちゃんのカレシに頼み込んで無理やり企画したって聞いますけど。)
「今日はここで楽しく食事をしながらみんなで盛り上がろう!」
「おーーー!。」
きょんちゃんのカレシの檄に応答したのはきょんちゃんだけだった。
「でさ、御燭寺さん今度の試験どんな感じ?」
「え?わ、私?」
「うん」
「んー。まあ、普段から勉強はそれとなくしてるので大丈夫だと思うけど。」
「すばらしい!さすがは御燭寺さんだ!」
「あは、あはは。」
「そんなことよりさ、御燭寺さんゲームとかやってる?」
私と市ケ瀬くんの会話に根津川くんが割って入ってくる。
「え?げ、ゲーム?」
「うん。そうネトゲとか。」
「ネトゲ?」
「うん。」
根津川くんがキツネみたいなキラキラとした目で私をじっと見ている。
「あの、ネトゲってなんでしょう?」
「え?ネトゲ知らないの?オンラインネットゲームだよ。今はね簡単に言うと電話回線みたいなのでゲームマシンやパソコンやスマフォを繋いで現実では知らない人同士で協力プレイや対戦プレイができるんだ!」
「...へ、へえ~~~。楽しそうですね。」
「でしょ?俺とカイデンやろうよ。」
「カイデン?」
「怪物伝説っていってね。怪物を倒して強くなって装備を整えてまた怪物を倒してって知らない人同士で協力するゲームだよ!」
(知らない人同士って...じゃあ、私はあなたとじゃない人とやりたいです。)
てなことはもちろん言えない。
「そ、そうですね...あ、でも私そのゲームの機械とか持ってないし。」
「大丈夫、大丈夫。ゲームマシンなら俺が何台か持っているのでそれを貸してあげるよ。」
「は、はあ。」
「御燭寺さんだったら特別にHDをSDに換装したスペシャルなマシンをさ!」
「やめろ!ゲームなんて人生をダメにするだけだ!」
今度は市ケ瀬くんが割って入ってきた。
「ゲームなんかより俺と一緒に試験勉強しよう、御燭寺さん!」
「え!?」
「学年連続トップの俺にかかれば御燭寺さんの成績はうなぎのぼりだ!」
ううう、それは確かに魅力的な話だ。
学年一位の人に勉強を見てもらえるなんて。
うわわわ、返答に困って援軍を頼もうと左の冴子を見てみると...スマフォをいじっている。
あわわ。
きょんちゃん、そうだきょんちゃんは!
バッと右隣りのきょんちゃんを見てみるとなんとカレシと一緒に1本のミックスフルーツジュースをストローで同時に飲んでいた。
なにしとんの!
「俺が!」
「いや、俺が!」
市ケ瀬くんと根津川くんが言い合いをはじめた。
自分の撒いた種を回収するどころかお花が咲いた。
もう場は各自勝手な行動を取っていて収拾がつかなくなっていた。
「誰かタスケテ...」




