マイヴィー!
俺の名は御手洗剛、17歳。
通称「便所へGO!」だ。
旧姓は佐藤だったが親が離婚して俺は母親についたため、母のあざなを名乗ることになった。
まあ、そんなことはどうでもいい。
幼馴染の執拗な妨害により最近の俺には彼女ができなかった。
だが今日、ふいに新彼女ができた。
それも噂の編入生、北条真樹菜さんだ。
交際開始の今日、早速放課後デートへと俺たちは勤しむ。
「おーっほっほっほ。良い天気ですわねーw。まるで私たちの交際を祝福してるみたいですわw。」
そう言いながら彼女は俺の腕に積極的に抱きつく。
くぅう、たまらんぜ。
俺はチラッと彼女の顔を見た。
「ん?どうかなさいまして?」
「いや、今も信じられなくて。こんなお姫様みたいな人が俺の彼女なんて。」
「おーっほっほっほ。イヤですわーーーw(ドンっ!)御手洗さんったらあ!w」
そう言いながら俺の肩をドン!と彼女は突き飛ばした。
(うお!めちゃくちゃいてえええ!なんて力だよ。)
「で、今日はどこにいくんだい?」
「スーパーに今日の夕飯と明日のお弁当の材料を買いたいのですわ。」
「あ、そうなのか、ならさ、夕飯はどこかで食べない?」
「え?」
「交際開始記念日に俺がおごるよ!」
「そんな悪いですわ。」
「いやいや、そこはさ、男の甲斐性ってやつで!」
「...そこまでおっしゃるのなら。お言葉に甘えましょうかしら。」
「イエス!マイヴィー!」
「なんですの?それ?」
「わはは、いや、イエス.マイヴィーナスの略で『了解した。俺の女神様』ってことなんだけどw。」
「おーっほっほっほw。御手洗さんイヤですわーーーーーーw(どぉおおおおおおん!!!)
「グハッ!」
俺たちはあるイタリア系レストランについた。
ファミレスではないので値段は少々高いが味も結構イケるという評判の店だ。
「ささっ、どうぞ、お好きなものを!」
と俺は彼女にメニューを差し出した。
「本当になんでもよろしいですの?」
「イエス!マイヴィー!」
「わたくし結構食べますわよ。」
「かまいませんよ!」
彼女はサラダ1皿とパスタ1皿、ピザ2皿、チキンとポテトのセットを「おいしいわーおいしいわー。w」と連呼しながら全部ペロリと平らげた。
「北条さんは本当においしそうに食べるね。」
「あら、やだ、はしたなかったかしら。」
「いや、俺もとっても幸せな気持ちで...おいしく食べることができたよ。」
「おほほ。でもお支払いのほう大丈夫なんですの?」
「んーーー、全部で5800円くらいか。うん、バイトで稼いでるから全然大丈夫。」
「おっほっほっほ。さすがは私の選んだエラスティスですわーw。」
「ん?それはどういう意味?」
「ギリシャ語で『恋人』っていう意味ですわw。」
「へぇー、北条さんギリシャ行ったことあるの?」
「ええ、父の故郷ですわ。日本には最近帰ってきまして。日本は母の故郷なんですのよ。」
「なるほど。そうだったのか。」
彼女の日本人離れした美しさの意味がようやくわかった。
それから俺たちはいろんな話をして気が付いたら夜の9時になりそうだった。
「あら、もう、こんな時間。」
「あ、ほんとだね。ごめん。」
「御手洗様が謝る必要なんてございませんわ。」
「いやいや。...あ、そうだ、交際にあたって先に聞いて欲しい話があるんだ。」
「なんですの?」
「うん、俺のことがあまり好きじゃなくなったらすぐに言ってほしい。」
「え?なんですの、それ?」
「いや、好きでもないのに縛り付けておきたくないから。。。」
「それは...お別れするってことですの?」
「...うん。お互い大事な時間をさ、無駄にすごしたくない。過ぎて行く時間はもう取り戻せない。」
「...」
「だからこれから何があってもイヤなことはすぐに忘れてまた新たな恋を求めてほしいんだ。」
「...なんで、つきあった初日からそんなこと言いますの?」
彼女は不機嫌そうな顔でそう言った。
「...うちの親、最近、正式に離婚したんだ。離婚してからはうちの母親がすごくイキイキした顔しててさ。今まで相当我慢してたと思うんだ。」
「...そうだったのですね。」
「自分の人生は自分の物なのにさ、子供ができちゃったとかで世の中、相当無理してる夫婦が多いと思うんだよね。」
「...」
「だからさ、せめて子供ができる前っていうか、早めにこの人は未来のパートナーとしてどうなんだろうって考えてほしい。」
「...さすがは私のエラスティス。人生を真面目に考えていらっしゃるのね。」
「...でも、結構みんな俺の事をとっかえひっかえ女を変えて結構遊んでるやつ。って思われてるけどね。」
「そうなんですの?」
「いやいや、とっかえひっかえ女性を変えてるけど別れてきた女性とはキスすら1回もしたことないよ。あ!...幼稚園の時、あったか。」
「幼稚園?」
「いや、あははは。そんな幼い時のことはノーカンですよw。」
「...でも、わたくしから御手洗様をキライになることは絶対ありませんわ。」
「いや、そんなことはわからないよ...」
「いえいえ、ですから、わたくしが御手洗様に嫌われなければいいことですわねw。がんばりますわーーーw。」
「いや、その気持ちは嬉しいけど無理はしないでちゃんと自分を出してね。...老後になって合わないって気づいたんじゃ、それはもう悲劇だから。」
「おーっほっほっほ。イエス!マイエラスティス!w」
素直でいい子じゃないか。
しかもすごく美人で明るくてスタイルも超絶いいし。
...ギリシャにいた時、恋人とかいなかったのかな。
などと彼女を送っていく時考えてしまった。
「もう、この辺でいいですわ。」
「あ、うん。」
「明日のお昼一緒に食べませんこと?」
「うん、いいよ。ていうか、ぜひ。」
「では、御手洗様のお弁当も作っておきますわね。お昼の時間中庭でお待ちしておりますわ。」
「おおおお!マジですか!楽しみすぎますよ!」
「おっほほほ。では、おやすみなさい。」
「うん、おやすみマイヴィ!」
やったぜ、俺!
すげえ、お嬢様捕まえたぞ。
お嬢様だから実家は金持ちに違いない。
今までの数々の試練をくぐり抜けた投資も決して無駄なことじゃなかった。
明日はどんな超豪華弁当が俺を待ち受けているのかw。
翌日の昼休み。
どんな弁当が俺を待っているのかワクワクドキドキしながら急いで中庭へ向かう。
「御手洗さまぁ~~~!ここですわよーーー!w。」
マイヴィーが俺に向ってぶんぶんと手を振っている。
なんてかわいいんだ!
「ごめん!待ったかい?」
「ううん、全然ですのよ。陽当たりの一番良いベンチをキープしておきましたわw。」
「え?まさか授業は?」
「おほほほ。ちゃんと最後まで受けておりますわ。授業が終わってからダッシュして席を取りましたの。」
そんな一生懸命に...俺は猛烈に感動した。
「さあさあ、どうぞお召し上がれ!」
高級そうな風呂敷をマイヴィーは広げた。
広げた風呂敷の中にはタッパが2つ。
「おお!(パカッ!)」
2つのタッパの蓋を開けるとそこは黒と白の世界だった...




