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JIJO -それぞれ-

「チッ!たったの1250円かよ。晩飯1回食って終わりじゃねーか!」


そう言って吐き捨てると若い女はさっきとは別の場所でウロウロと何かを探すような芝居をしていた。


(くそがっ!なかなかカモがこねえな)


通行人はちらちらとこちらを見るが声をかけてくる人はいない。

それでもやめる様子は一切なかった。

若い女にとってその芝居が仕事だからだ。

1時間もその芝居を続けていたらようやく中年のスーツを着たサラリーマンらしき人が声をかけた。


「お嬢さん、どうかしましたか?」


(オホッ、これはなかなか金を持ってそう)


「ええ、あのコンタクトレンズを落としてしまいまして...」

「そうなんですか、いや、私は、あそこからコーヒー飲みながらずっとキミを見てましてね。長い間、何かを探してる様子だったので。」


サラリーマンはビルの2階にある喫茶店を指さしながらそう言った。


「はぁ、そうなんですか...困ったなあ」


若い女はサラリーマンの言ってる話にはうつろなままにただただ困っている芝居を続けた。


「そういうことなら私も探しましょう!」


サラリーマンはそう言うや否や若い女の口元の両側が上方向に向く。

若い女は素早くサラリーマンの足元に使い捨てのコンタクトレンズを手から放った。


ペチっ!


「ああ!」

「あ!」



ひいふうみいよぉ...


「フフフ、今日の稼ぎは7万5千円!ちょろいちょろい!」


若い女は今日の稼いだ金を勘定し終えるとあんぱんと牛乳を食しながら満足げな顔をした。


「やっぱ、都会はいいなあ!バカがたくさん寄ってきよるし!」


若い女は後ろで髪を止めている髪留めを外し髪をバサアアアとなびかせながそう言った。


「このへんももう潮時だね。長居は禁物。明日からは2県離れた場所で稼ぐか!」


若い女は落日とともにこの地から消えた。



「...くん、み...らいくん、御手洗くん!」

「う、ううう。」


病院のベッドで剛くんは起きた。

無理やり起こすのも何か悪い気がしたがなぜかそうしてしまった。


「大丈夫?」

「う~ん、何かあちこち痛いけどそこまでひどい痛みは感じないからきっと大丈夫だよ。」

「そう、良かった。」

「あ!あれからどうなった?」

「おまわりさんが来て助かったよ。」

「そうか、危なかったね。」

「うん、...でも、御手洗くんを巻き込んじゃってごめんね。」

「いやいや、助けるのは当然のこと。御燭寺さんだったらなおさらね。」

「え?」

「わはは。」

「御手洗くん...」

「ふふふ、なんだい?」

「冴子の告白、ちゃんと返事してあげてね。」


がくっ!

私には剛くんが何かずっこけるような感じに見えた。


「わ、わはは、知ってたんだ?」

「当たり前じゃない、親友だもの。」

「そう、そうか。」

「ダメだとしてもちゃんと冴子が納得できるように返事してあげてください。お願いします。」

「...そうだね。...御燭寺さん真面目なんだね。」

「よくそう言われます。」


私はにこっと笑ってそう言った。

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