お前だけはない
俺の名は御手洗剛、17歳。
通称「便所へGO!」だ。
旧姓は佐藤だったが親が離婚して俺は母親についたため、母のあざなを名乗ることになった。
まあ、そんなことはどうでもいい。
夏休みも中盤、俺は神の啓示によりクラスメイトとともにあるプール施設に来ていた。
俺としては1週間連続で来ている。
入場料だけで結構な出費だが見返りを考えれば仕方がない。
今日は入場口で入場券を落として困っている家族に
「落ちてましたよ」
と代わりに自分が買った入場券を差し出した。
これだけの善行を積めば今日こそはきっとたいそうな見返りがあるに違いない。
ウオータースライダーで見覚えのある女性3人組を見つけた。
そうらみろ。
「わりぃ、ちょっと先行ってて。」
俺はクラスメイトを先へ行くように促すとまるで獲物を刈る獣のように3人組へ近寄っていった。
ところがどこかで見覚えのある男が彼女達に話しかけていた。
「あれは...」
まちがいない。
ウチの生徒会長だ。
くそがっ。
俺は物おじせず特攻をかけた。
「こんにちは。」
「あ、あれ?御手洗君も偶然だね」
「こんにちはー。」
「ん、君もウチの生徒かね?こんにちは。」
「...」
京本以外はおのおの声をかけてくれた。
京本め、いまだに根にもってやがる。
こいつ早くなんとかしないと他の女子にも影響でそうだな。
事実、俺は彼女なしの状態がもうすぐ1カ月になろうとしてる。
おそらく京本が俺のことを悪く言いふらしてるに違いない。
「えと、みなさん。生徒会長さんと一緒に来たんですか?」
「違うよー。たった今、会長さんから声かけてくれたの。」
一里塚さんが答えてくれた。
一里塚さん、ほんといい子だな。
俺の問いに一番早く明るく答えてくれる。
それにきょ、巨乳だし。
「おい、何、きょんの胸ばかり見てんだよ」
左耳に激痛が走る。
「イテテテ!やめろ!」
京本が俺の左耳を思いっきり引っ張っていた。
「きょんはラブラブなカレシいるから惑わせるのはヤメテよね!」
ぐはあ、彼氏いるのか。
と無念な気持ちに包まれながらも隣でぽかんとしている御燭寺さんを見た。
う~ん、いい!
グッドですよ!
ビキニではないが紫の下地に花柄模様が彼女の魅力を引きだしている。
「御燭寺さん、その水着、タンキニ?っていうのかな。すごくよく似合ってるよ。」
「わ!ほんと?ありがとう!」
うわっ、その笑顔いいよ!
まぶしすぎるぜ!
ぎゅ~~~!
「グワッ!」
左耳に激痛が走る。
「...ところのことはあきらめろ~~~~!」
京本が俺の左耳を思いっきり引っ張っていた。
「お!お二人さん仲いいんだな!」
会長がそう言う。
冗談じゃない。こいつだけはない!
早くなんとかしないと...今なんとかしよう。
「ちょっと、京本いいか?」
「は?なによ?」
「いいから!」
俺は俺の邪魔をするなという説得の為、強引に京本の手を引っ張り群れから離れた。
「あのさ、もう本当に俺の邪魔をするなよ。」
「イヤだ。」
「もう、女の子を傷つけるようなことしないから...って今までも傷つけた覚えはないけど。」
「イヤだね。信用できない。」
「くっ、お前にだって俺の幸せを邪魔する権利はないだろう?」
「...まあ、それはそうだけど。」
「もう、俺と関わらないでくれ。」
「...」
「俺とお前は関係ない!いいな!」
「関係あるよ。」
「まあ、そりゃあ、お前の友達の御燭寺さんが俺とつきあうようなことになったら関係あるかもしれんが。」
「...そうじゃ、ないよ。」
「だったら、なんで関係あるんだ?」
「...あたしは中学の時からあんたが好きだったんだ!あたしとつきあえよ!」
「え?」




