表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

SKのお話

SKの強さくらべ

作者: 紅藤


 若手冒険者一団、スカイアドベンチャー。パーティーメンバーは以下の通り。

 今はレンジャーな舟長。今はシーフな魔法使い。今は騎士なアサシン。今は新官な剣士。今は剣士な斧戦士。ややこしさでは随一の五人だ。

 さて今日は珍しく、舟長が買ってきたロボットに注目が集まっているご様子。


「人のステータスを解析して、戦闘に対するアドバイスをしてくれるらしい」

「えらく曖昧な説明書だな。私にも貸してくれ」

「それしか書いてないけどな」

「それって非正規品じゃないよね?」


 ピピッ。軽い電子音がして、魔法使いに光線が集まった。解析が始まるらしい。


「お、私を解明する気か? やってみるがいいさ」


 魔法使いは頭を反らして威張っている。

 ピー。電子音が再び鳴り、仮想状の画面が現れる。透け透けな画面は割れてしまいそうなガラスみたい。


「うん、私のステータスですね」

「253、298、748、240、275……。これは装備込みのステータスの方か」

「相変わらず知力だけ強いな」

「だってレベル上がった時のボーナスポイントはみんな知力に振ったもん」

「防御や攻撃も高いのは今のジョブ補正か」

「素早さもね。今はシーフな魔法使いさんだから、わたし」

「ぱっと見なに言ってるか意味不明だろうけど、事実なんだよね、これ」


 ピッ。ピピー。ピロリ。

 あちこちいじって次の項目を見つける舟長。

 壊しそうだが、元がごみ捨て場にあったロボットだ。別段、失っても損はしない。


「次のページあったの?」

「あった。どれ……」

「これ、比較がないからうまく表示できてないよ」

「じゃあ次はおれをスキャンしてもらおうか」


 斧戦士は、今は剣士なのだが、やっぱり斧を持っているので、それを近くに置いてロボットに向きなおった。

 斧を持ってる剣士って斧戦士と対して変わらないじゃないか。と思いがちだが、実はかなり違う。防具が重いものは全く着けられなかったり、普通は斧を装備できなかったりするからだ。

 ロボットが電子音と共に解析を始める。


「じゃ、次はオレな」

「じゃあ、その次はボクね」

「……オレは最後か」


 僧侶な剣士がそう言うと、騎士なアサシンが続ける。

 必然的にレンジャーな舟長は最後になってしまった。

 無理やりロボットにこちらを向かせれば、最後ということは回避できる。しかし、さすがにやり方がせこいし、そこまでするメリットが感じられなくて、舟長は何もしない。

 順にロボットの光線に当てられていく仲間をぼーっと見ていた。


「舟長のステータスも読み取ったようだ」

「こりゃあ、次のページすごいことになってるぜ」

「この後ろの数字、1から5まであるね」

「もしかして:ランキング」

「なるほど……。魔法使いのステだとどうなってんの?」


魔法使いのステータス

攻撃 253(5)

防御 298(5)

知力 748(1)

精神 240(4)

速力 275(3)

運 160(4)


「知力以外死んでるだとー!?」

「それは知ってたけど、他が以外と低いな。精神は第二位ぐらいいってると思ったのに」

「そう言う斧戦士のステータスはどうなのよ」


斧戦士のステータス

攻撃 698(1)

防御 395(3)

知力 219(5)

精神 210(5)

速力 283(2)

運 162(3)


「知力と精神が死んでやがる……」

「魔法剣士の座についてなお、これか」

「け、けど他は低くないよ!?」

「速力で一番低いのはひょっとしてオレか!」


剣士のステータス

攻撃 375(4)

防御 525(2)

知力 337(2)

精神 456(1)

速力 237(5)

運 156(5)


「攻撃ィ……」

「おまえよりましじゃん」

「防御性能はピカイチなんだけどね」

「運も低い……」

「運はどれに作用してるか調べようもないから」


斧戦士、フォローしてるつもりです。


アサシンのステータス

攻撃 501(2)

防御 558(1)

知力 322(3)

精神 299(3)

速力 265(4)

運 180(2)


「やったあ、一位がある!」

「ちょ、ちょっと待てよ」

「うーん、速力以外は高水準だなぁ」

「おれたちとは違うな」

「なに達観してんだ」


今になって焦り始める舟長。他のメンツはもう結果が出てしまったので、のんびりしている。


舟長のステータス

攻撃 379(3)

防御 385(4)

知力 259(4)

精神 315(2)

速力 410(1)

運 223(1)


「なんとか一位確保ー!」

「なんとかって二つもあるじゃない。ずるい」

「精神以外はアサシンの方が上回ってるな」

「へへーん。死にずらさは伊達じゃないよ!」

「運はともかく、速力はアサシンとどっこいどっこいじゃね。アサシンは今、騎士だから足が遅いだけだし」

「おまえら、オレを陥れようとしてないか?」


 すっかり放置されたロボット。それを脇に盛り上がる五人。

 ロボットは最後の力を振り絞って、大きな爆弾を落とすことに成功した。


≪三ページ目が追加されました≫


「ん?」


 暇だった魔法使いさんが腕を伸ばし、それを確かめる。すると、そこに書いてあったのは……。

 弱点、非常に多し。最弱。

 思いやりが足りない言葉の数々だった。


「なにこれ。キミ? キミがやったの?」


 魔法使いがロボットにつかみかかる。攻撃の値が低いのでダメージは発生しないが、オンボロロボットには多少の揺れや刺激でも大損害だ。煙が噴出する。


「おい、どうした」

「ロボット君? 変な煙出てるよ」


 アサシンが軽くロボットを小突く。それだけで、煙は明らかに量を増した。


「あれ、ボク余計なことしたかな……?」

「舟長、こいつこんなこと書いてますよ」


 魔法使いが指差したのは舟長の三ページ目。

 そこには、アサシンの下位互換、と誤解あふれそうな単語があった。


「ち、ちげーし。素早さと運は一位だし。下位互換とはちげーし」

「落ち着け」


 魔法使いとは違って狼狽え始める舟長。普段、要らない子とか呼ばれ続けているので、自己評価が低いのだ。

 魔法使いのような人柄でも、思わず労っちゃう慌てようだ。

 そうこうしているうちにロボットはますます激しく煙を噴き上げ、ついにはボムッと小爆発。

 身体中を吹き飛ばして消滅してしまった。


「ありゃー」

「とりあえず換気しよっか」

「壊れたことに少しは動じろよ」

「そういう剣士だって平気じゃない」

「おまえこそ。つついたくせによくもまあ」

「壊れてもうた」

「なにその唐突なおばあさ……いや昔ばなし風口調は」


 ロボットは壊れてしまったが、スカイアドベンチャーは元気です。

 まったく、お互い様とはこのことである。



SKの攻撃ランキング

1.698(斧戦士)

2.501(アサシン)

3.379(舟長)

4.375(剣士)

5.253(魔法使い)


SKの防御ランキング

1.558(アサシン)

2.525(剣士)

3.395(斧戦士)

4.385(舟長)

5.298(魔法使い)


SKの知力ランキング

1.748(魔法使い)

2.337(剣士)

3.322(アサシン)

4.259(舟長)

5.219(斧戦士)


SKの精神ランキング

1.456(剣士)

2.315(舟長)

3.299(アサシン)

4.240(魔法使い)

5.210(斧戦士)


SKの速力ランキング

1.410(舟長)

2.283(斧戦士)

3.275(魔法使い)

4.265(アサシン)

5.237(剣士)


SKの運ランキング

1.223(舟長)

2.180(アサシン)

3.162(斧戦士)

4.160(魔法使い)

5.156(剣士)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ