親衛隊
魔王城の魔王の私室にちっちゃな魔王な女の子とさらにちっちゃな魔物たちがごろんと寝転がっていた。
なんとも言えない表情で執事な男の子はその様子を見ていた。
それからしばらく時間が経った頃、げろげろと鳴き声がして部屋の扉が開かれた。
何匹ものちっちゃな魔物……羽の生えたライオンのようななにかがぐわぐわ鳴いたり、猪の牙を持った馬のようなカバがげろげろ鳴いたり、そんな感じの生物が積み重なって高さを作り、扉のノブを動かしたらしい。扉にもたれかかるようにして体勢を崩しながら魔物たちは部屋に入ってくる。
転がった魔物たちはわたわたと起き上がったり魔物同士でぶつかったりしながら部屋の中に散っていった。
その騒ぎから一歩離れた部屋の外で待っていた、尻尾が鱗みたいになっている犬のような生物が、背中にお盆と飲み物を載せて静かに部屋に入ってくる。
執事は尻尾が鱗な犬の背中から飲み物を取った。そして、がばりと上半身を起き上がらせた魔王に飲み物を手渡す。
「ありがとー」
と言って魔王は犬っぽい魔物の頭を撫でた。
「親衛隊はとーっても優秀なの。すごいでしょー」
「まあ、思っていたよりは」
執事はしぶしぶうなずいた。
魔王は言葉を続けた。
「それにねー、こんなにかわいい子たちが私を守っていれば、同時に私のイメージも高まると思うの。ふふー」
笑顔の魔王。執事は納得できないまま言った。
「かわいいかどうかは異論があると思いますけど、まあいいんじゃないですか。そもそも魔王様のイメージを高める必要もないと思いますけど」
「えー」
「とにかく、魔王様の作った魔物の失敗作がこうしてなんらかの役には立ったんですから、まあいいんじゃないですか」
「失敗作じゃないよ。ちゃんと優秀だもん」
「このあいだ魔王様も認めてましたよ。失敗からなにか生まれるものもあるとかなんとか」
「…………そうだねー」
その時のことを、魔王はこっくりとうなずいた。
ちっちゃな魔物たちはその光景にがーんとショックを受けることもなく、ただ平和にごろごろとのんびりとした時間を楽しんでいた。
ちっちゃな魔物とかいれば印象が良くなるのではないかという話。




