神秘性
魔王城の一室で、魔王な女の子が首をひねっていた。
そのちっちゃな女の子の前にはふたつの物品がある。ひとつはガラスの器。もうひとつは魔術のこめられた古めかしい棒である。
「どうしたんですか?」
と執事な男の子が魔王に訊ねる。
魔王は言った。
「このふたつのアイテムは、どちらも人間の国から手に入れたものなの」
「はい」
「それでその由来をシャティちゃんに説明したんだけど……なんだか反応がいまいちだったからどうしてだろうって思ってー」
「どういう説明をしたんですか?」
「ふふー。こっちの棒は人間を治癒する魔術が込められているの。この棒を作る際にはひとつの都市で三日三晩も魔術的な儀式が行われて、たくさんの人が血を吐きながら倒れたの。そのかいもあってこの棒が完成したんだね」
「なんだかとってもおっかない儀式を行ってるんですね、人間って。というかその程度の魔術で……もちろん魔族ほど魔術が得意じゃないってことは分かりますけど」
「シャティちゃんもびっくりしてたねー」
「というか、そんなに大変な儀式をしてまで作った棒がここにあっていいんですか?」
「私が人間に配慮する理由なんてないしー」
「そりゃあ、そうでしょうけど」
魔王は話を続けた。
「それでねー、次はこのガラスの器だねー。このガラスの材料になるものは他にもいろんなものの材料として使われていて重要なものだったんだね。その材料をたくさん手に入れようと人間は思ったらしいんだけど、そのさいに汚染された空気がまき散らされたりいろんなことがあったの。人々は大変苦しむことになったんだよ」
「はあ」
「そんな感じの話をしたんだけどー、魔術儀式と汚染された空気では印象が違うんだってー。同列に語られても困るみたいなことを言われたの。一緒じゃないと思いますーって。どっちも、物を作って多くの人間が苦しんだ結果は同じなのに……」
「なんかシャティにそう言われてもしかたがない気がしますけど」
「えー」
同じなのにー、と魔王は頬を膨らませた。
苦しむ話。




