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 魔王城の地下にある牢屋の通路を、魔王な女の子と執事な男の子が歩いていた。

 煌々と明るいその通路に、こつこつと足音が響いている。

 魔王が言った。

「人間と魔族の戦いが始まって約二百年もたつけど、ここの牢が人間相手に使われたことは使われたことは一度もないらしいよ」

「わざわざ人間を捕虜にしたなんて話は聞いたことありませんしね……」

「そんな暇があれば、食べ物とか略奪してるからねー」

 人間側は魔族の土地を奪おうと攻めてくるし、魔族は人間の食料や資材などを奪うために攻めているのだ。

「つまりこのお城の牢屋はね、ほとーんど役に立ったことがないんだよー」

 こんこんと牢屋の壁を手で叩きながら魔王が歩く。

 牢の鉄格子の中を見ながら、執事はため息をつく。

「ほとんど、ですか」

「んー、うん。ほとんどー。たまには閉じこめられてる子がいるけどね」

「……? 使われたことは一度もないのでは?」

「人間相手にはねー」

 不思議に思う執事に、魔王は答える。

「好き勝手してるカロンくんとかをたまーに閉じ込めたり。あとはルリエラちゃんも入ってたはず」

「ええ?」

 魔王の言葉に執事は驚いた。

「ルリエラさんがそんな罰を受けるようなことをしたんですか? いったいどんな失敗を……」

「失敗っていうか、不服従ー?」

「魔王様に逆らうようなこと、するようには見えませんけど」

「……先代魔王には懐いてなかったみたいだからー」

「な、なるほど……」

 魔王様大好きな様子のルリエラの姿はすぐに思い浮かぶが、先代魔王との関係は執事は知らなかった。

 そしてどうやら、この牢屋は身内にばかり使われているらしい。

「さて」

 と魔王が立ち止まった。

「目的地はたぶんここのはず」

「…………」

 同じく執事も立ち止まって、うんざりした視線を鉄格子の中に向けた。

「すごいごちゃごちゃしてますね……。いくら使ってないからって、牢を物置にするのはやめましょうよ」

「えー、場所の有効活用だよー」

牢での話。

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