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売りたい

 魔王城の一室で、魔王な女の子が言った。

「思うに、宝石をたくさん売ったらいいんじゃないかな」

「というと?」

 執事な男の子が意味を理解しきれずに首を傾げる。

 魔王はふふーんと楽しそうに言った。

「土の魔術が得意なルリエラちゃんがたっくさん宝石を作るのー。人間は魔術がそんなに得意じゃないでしょ。だから人間の国に売り出せば大儲けできると思うの」

「誰が人間の国に売りに行くんですか」

「え……誰かが変装して?」

「なるほど」

「それでねー、大儲けしたお金を使って欲しいものを買い占めるのー。いい考えだと思わない?」

「……まず、宝石を大量に売り払う時点で怪しまれて目を付けられますよ」

「えー……」

「次に、欲しいものを大量に買い占めるときにも絶対怪しまれますよ」

「うー……」

「それにたぶん攻め入って略奪した方が手っ取り早いです」

「…………そうだねー」

 魔王はがっかりとしながら納得した。

 それから少しの間、ちっちゃな魔王は考え込んでいたのだが、瞳をきらきらとさせて言った。

「じゃあ怪しまれないように徐々に地盤を作っていけばいいんだよ! まずはちょっとずつ取引させるとか!」

「なるほど」

 そんな長いこと人間の国に潜入して演技を続けるような部下とかいないんだろうなとは思いつつも、執事は一応相づちを打っておいた。

 魔王のこの思いつきは当然のようになかったことになった。

宝石を売ろうと思った話。

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