そして残ったもの
魔王城は元気を取り戻した。
とは言っても元から魔王城には少ししか人数がいないため、さほどのことでもないのだが。シャティがなにやら失敗して物音が響いたり、生み出された魔物が列をなして外へ出て行ったりしている。
魔王な少女は何度目か分からない安堵の息を吐いた。
「良かったねー。みんな病気がなくなってー」
「まあたしかにそれはいいんですが……その間に魔王様が頑張ってくれていたことも分かってはいるんですが……」
リラックスして椅子に座っている魔王の横で、執事な男の子が微妙な顔をして立ちつくしていた。
周囲を見回して、告げる。
「なんですか、この変な生き物は」
どこかで見たような気はするが決定的に間違っている動物やら魔物のような生き物が、山のようになってもぞもぞと動いていた。
魔王は穏やかな表情をしたままのんびりとうなずいた。
「かろうじて成功した魔物は前線に送りだしたから、その残りだねー」
「残りって、つまり失敗作ってことですよね。……つい最近聞いた話でなんとなく想像がつきましたけど、誰が作ったんですか?」
「わたしー」
「思い出話をしていたらまた魔物を作りたくなったとかですか?」
「え、ううん」
魔王はきょとんとしながら首を横に振った。
「ルリエラちゃんも病気で倒れちゃってたから、魔物の数をなんとかしなきゃと思って」
「四天王まで倒れてたんですか!?」
「ルリエラちゃん、いつも早め早めに魔物を作ってくれてるから助かったの。ある程度は予備の魔物がいたからー」
「そうなんですか……。それにしても失敗作だらけですね」
執事はなんとも言い表せない生物たちを見ながら言う。
魔王は遠くのほうを見た。
「失敗は悪いことじゃないの。ほらー、シャンパンだってダイナマイトとかだって、失敗のような出来事から生まれたって話だもん。この子たちだってきっとなにかの成功につながっているんだよ」
「それで、この子たちはどうするんですか。前線に送っても役に立たないと思いますけど、まさかこの城で飼うつもりですか?」
「…………」
「…………」
ふたりともなにも言葉を発さない沈黙の中、魔王作である不思議生物たちの鳴き声だけが可愛らしく響いていた。
病気が治ったことと失敗した話。




