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気のせい
魔王城の魔王の私室で魔王な女の子がごろごろしていた。
「ごーろごーろ、ごろごろー」
寝転ぶ女の子の表情はとても幸せそうだった。
「ごーろー」
それを見ていた執事な男の子が言う。
「そろそろ働いてください、魔王様」
「えー?」
言われた魔王は右へ左へとごろごろする動きを止め、不思議そうな顔をした。
「最近は結構働いてる気がするよー」
「……たとえば?」
「えっとねー、昔の魔王様の祟りを鎮めたりー……祟りを鎮めたりー……祟りを……あれー?」
思っていたほど働いている記憶が出てこなくて、魔王は首を傾げた。
石器を作ったり国宝を作ろうとした思い出もあったが、あれはどちらかといえば遊びの範疇だろう。
「あれー?」
思っていたより遊んでいた話。




