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洗う
外で遊んで帰ってきた魔王な女の子は石鹸で丁寧に手を洗っていた。
「石鹸は油脂とアルカリで作られていて、その歴史はなんと五千年ぐらい前にさかのぼるとかなんとか。それだけみんなにとって大事なものだからずっと使われてきたんだね」
魔王は手を洗いながら、それまでと同じ軽い調子で執事な男の子にに告げる。
「ちなみに私は身体が頑丈だから、手洗いうがいをしなくてもきっとずっと健康なの」
「それでもちゃんと手は洗うんですね」
不思議そうに執事が言う。
魔王はうなずいた。
「必要ないんじゃないかなってふと私も思ったの。それで先代の魔王が現役の時に聞いてみたんだけど」
「どうだったんです」
「ばい菌のある手でぺたぺた他の物を触ったり、うがいしない喉でくしゃみしたら、他の魔族が困るからちゃんと手洗いうがいはしなさいってー。自分だけじゃなくみんなのためにもしないといけないんだねー」
「先代の魔王様が良識のあるかたでよかったと、ひしひしと思いますね」
石鹸の話。




