きっと仲良し
魔王城のテラスにて、魔王な女の子がのんびりとくつろいでいた。
穏やかな風に雲が流れていく。庭ではメイドのシャティがジョウロを持って、花たちに水を与えている。細かい水の流れが弾け、きらきらと輝く。
手すりに両ひじを置き、頬杖をついて魔王はそれらを眺めていた。
その時、重たい音が響いた。そばに控えていた執事な男の子が言う。
「雷の音……みたいでしたね。いい天気なんですけど……」
不思議そうに執事が空を見上げ、魔王も雲を見る。
それからのんびりとした時間が過ぎていったが、ふと魔王は言った。
「そうだ執事くんー、問題ですー。水や氷の精霊さんが踊っていると、その楽しさにつられてやってくるのはだーれだ」
突然のクイズに執事がきょとんとする。
少し考えてから、庭で水やりを終えたメイドの少女を見やる。汗などかいていないだろうに、なぜかシャティはぬぐうようなしぐさをしていた。
執事は答えた。
「花……とかでしょうか」
「ぶぶー。ざんねーん」
魔王が否定する。
不正解だったことに執事は残念がる様子を見せた。そのほうが魔王が喜ぶだろうと、ただそれだけのための態度ではあったが。
しかし、正解がどんなものかには純粋に興味があった。
「答えはなんですか?」
「ふふー。答えはねー、雷の精霊さんー」
じゃじゃーんと魔王は答えを披露する。
執事は疑問に思ってさらに訊ねた。
「水は電気を通しやすいからとか……そういう理由ですか?」
「ううんー。そうじゃないねー」
魔王は首を振った。
「お空に浮かぶ雲は水や氷の粒の集まりなの。精霊さんたちが踊ることによって粒たちがこすれあって、電気が生まれるんだね。その電気につられて、嬉しくなった雷の精霊さんもやってくるの」
執事は曖昧にうなずいた。
「そう……なんですか」
「どんどん電気の力は強くなっていくんだよー。雲の中で電気の力が発散されたり、もっともっと高いお空に向かって放たれたりすることもあるらしいんだけど、電気の力が地上に向かって落ちてくるのが一般的な雷なんだね」
魔王は空を見上げながら言った。
「すごいよねー。あんな高いところでも、精霊さんたちは踊ってるんだから」
雷の話。




