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起きたら起きた時に考える
魔王城の一室で魔王な女の子が、メイドのシャティに向かって本を読んでいた。
「こうして、過去に戻った魔王は王都の崩壊を食い止めることはできませんでしたが、なんとか魔族たちを逃がして、失われるはずだった多くの命を救うことに成功したのでした。めでたしめでたしー」
「わ、わぁー」
シャティが瞳を輝かせて小さく拍手していたりする。
執事な男の子が、言った。
「魔族が救われない未来が消えたということは、魔王様が未来から記憶をもってやってきたこと自体おかしくなると思うんですけど、そのあたりどうなんでしょうか」
「現実で過去に戻ったりが起きてるわけじゃないしー。この物語ではこういう設定なんだなーみたいに深く考えなければいいんじゃないかなー」
「……そうですか」
納得した様子ではなかったが、執事はうなずいた。
なにを言っているのか意味が分からなかったのでシャティは困惑していた。
パラドックスみたいな話。




