ショート
魔王城の一室で魔王な女の子が、先日の宴について思いをはせていた。
「楽しかったねー。ルリエラちゃんの作ってくれた野菜スープもおいしかったしー」
「そういえば嬉しそうに魔王様に料理をふるまってましたね」
執事な男の子が思い出して言う。
魔王もうれしそうにうなずいた。
「うんー」
「あんまり料理しているイメージとかなかったんですけど」
「みんなでピクニックに行ったからねー。その時に前線の魔物の修復とかいろいろしたから、ちょっとルリエラちゃんのお仕事が減って今は余裕があるみたいー」
「そうだったんですか。だから魔土の運ぶ量も減っていたんですね」
「またお料理作ってくれるってー」
それから、ふと思いついたように魔王は言った。
「そういえば執事くん。ショートソードって知ってるー?」
「……? 剣、ですよね」
「うんー。その全長がだいたい七十センチメートル前後、家で使うような普通の包丁が全長三十センチメートル前後って考えると、二倍以上も大きさが違うんだよー」
「それは結構大きい……ようなそうでもないような」
「ショートっていうわりには結構イメージ違うでしょー。ふふー」
「普通に料理するぶんには使わないということは分かりました」
ショートソードの話。