なんとなくそんな気分だったので開催
魔王城の一室で魔王な女の子がごきげんで歌を歌ってたりした。
参加しているのは基本的に魔王とその親衛隊であるちっちゃな魔物なのだが、とっても騒がしい。魔王の特に意味もない発案で、勇者に勝ったぞ戦勝記念パーティみたいなものを開催中なのだ。
執事な男の子は料理や飲み物を運び終えて一息つき、メイドのシャティは魔王に腕を掴まれて絡まれてやや困惑しているようだった。
ちっちゃい魔物は食べ物を食べたりミルクを飲んだり魔王の歌に合わせて鳴き声をあげたり、よく分からないけれど隣の魔物をぽかぽか叩いていたりした。
歌い終えた魔王がメイドに微笑む。
「ふふー。楽しいねー。勇者くんさまさまだねー」
「え、ええと、その、は、はい」
戸惑い気味に肯定したあと、気になったのかシャティは言った。
「そ、そういえばその」
「なあにー?」
「ゆ、勇者って、その、す、すごい剣とかを持ってましたよね。に、人間の国って、ああいう物も持ってるんですね……」
かつてシャティが勇者ごっこで使った剣のほうが、はるかにすごい剣ではあるのだけれど。彼女の言いたいことはそういうことではないのだろう。
魔王は頬に一本、指を添えながら答えた。
「国の規模にもよるんじゃないかなぁ。今回攻めてきた国は領地が広くてそこそこ大きかったからねー。その周辺の都市国家とは違う感じー」
「……と、都市国家ってなんですかぁ?」
「えっとねー。ひとつの都市とかその周辺の農地とかで構成されてる国のこと。そんなにおっきそうな感じはしないでしょー?」
「そ、そうです、ね?」
それから、シャティは言った。
「じゃ、じゃああの、わ、私の故郷も都市国家なんですか?」
「うーん、シャティちゃんの故郷はうちの国の一部だからー。あと、都市というよりただの村というか里というかー」
的外れな質問に、魔王が返事をする。
魔王たちのそんな様子に構わず、ちいさな魔物たちは楽しげに宴を続けていた。
パーティと都市国家の話。