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 魔王城の一室で魔王な女の子が真っ赤な飲み物の注がれたコップを前にして、じぃっとそれを見つめていた。

 とある昼下がりのことである。

 そしてその魔王の様子を、親衛隊と呼ばれるちっちゃな魔物たちがおおよそつぶらな瞳で見つめている。

 それから静かな時が流れ、やがて執事な男の子がやってきた。

 魔王は執事に言った。

「罰ゲームってどこにもゲーム要素がないと思うのー」

「もしかしたら、ゲームの延長線上の罰だから罰ゲームなんじゃないですか、きっと。分かりませんけど」

「そうなのかなー」

「ところで今はどういう状況なんですか? めずらしく親衛隊が勢ぞろいしてるみたいですけど」

「ゲームをしたのー」

「はあ」

「かくれんぼなんだけどー。私が鬼で、親衛隊が隠れたんだねー。それで、負けたほうがこの激辛ジュースを飲むことになってたの」

「ああ、それで城内を駆け回ってたんですね……。それで勝敗はどうなりましたか?」

「親衛隊が勝ったんだよー。まさか私が負けちゃうなんてー」

「へえ……まあ大勢いたとはいえ、うまいところに隠れたんでしょうね」

「どうしても見つけられなかった最後の一匹は、ルリエラちゃんが作った魔物の口の中に隠れてたの。のんびりお昼寝してたー」

「それは……」

 執事が絶句する。

 勝利したちっちゃな魔物たちはじーっと魔王を見ている。

「うー。いつまでもこうしててもしかたないしー。いざー!」

 悲愴な決意とともに魔王がコップを手に取り、真っ赤な飲み物をどんどん飲んでいく。どんどん赤い液体が消えていくにつれて、魔王の表情が変わった。

 そして飲み物がなくなった。

 魔王が言う。

「親衛隊でも飲めるように調整したせいで、あんまり辛くないー……」

 つらい思いをしなくて済んだにもかかわらず、どこか魔王は残念そうだった。

 そんな魔王にちっちゃな魔物たちがすりよってくる。

「わ、あははー。くすぐったいよー」

 どっちも幸せそうだなと、執事は思った。

罰ゲームな話。

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