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輪っか
魔王城の魔王の私室で魔王な女の子が工作をしていた。
たまにおやつのドーナツを食べながら。
「ふふー。おいしいよねー、ドーナツ」
「まあ、そうですね」
あきれたように言葉を返すのは執事な男の子。
魔王は次々とドーナツを食べ、次はカラフルな色のチョコがのったドーナツを手に取る。
「ドーナツって輪っかじゃないものもあるんだよね。でもリングドーナツは輪投げに使えそうで楽しいの」
「しないでくださいね」
「ってさっきも言われたから工作中ー」
ドーナツを食べて、魔王は工作を再開した。
それからしばらくして、輪っかを両手で掲げた。見た目だけは先ほどまで食べていたお菓子に似ている。
「ふふー。ドーナツ型輪投げの輪っか、完成ー!」
「それ、絶対べとべとですよね」
ドーナツを食べながら手を洗いもせずに工作をしていた魔王に、執事は溜息混じりに言った。
ドーナツと輪投げの話。