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水滴
魔王城の魔王の私室で魔王な女の子が反省していた。
執事な男の子が問う。
「いったいなにがあったんですか?」
「さっきシャティちゃんと話してたんだけどねー」
「はい」
「空気中には水蒸気が含まれてるのー。水蒸気の量が多くて気温が低くなると、水蒸気の一部が水滴になって霧として空中を漂っていたり、露として植物とか壁とかを濡らしたりしてるんだね。そういうことを話してたらー……」
「話していたら?」
「霧の中でドラゴンの襲撃にあったトラウマを思い出したのか、シャティちゃんの元気がなくなっちゃったのー。悪いこと言っちゃったなーって」
「あの子もかなり壮絶な体験をしてますね」
執事はその場面を想像しながら、力のない声で言った。
水蒸気な話。