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食べるべきかどうするか
魔王城の一室で魔王な女の子が果物を前にして悩んでいた。食べたくてぷるぷると震えているのだが、どうにかその欲求を制御している。
「うーん」
「どうしたんですか、魔王様」
執事な男の子が問う。
魔王は言った。
「この果物はとある地方で常食されているとっても甘くておいしい果物らしいのー。最近偶然手に入ったんだけどー」
「それは良かったですね」
どうやって手に入れたのかは執事は問わなかった。
こくり、とうなずいてから魔王は言う。
「でもねー」
「はい」
「毒があって、これを食べてるとその相手によっては身体がうまく動かなくなる病気にかかるとかなんとか」
「……だめじゃないですか」
「でもたくさん食べ続けてるとかじゃなければ大丈夫だって話なのー。どうしよっかなーって。とってもおいしいらしいしー」
「まあ、普通の果物だったとしても過剰に食べ過ぎれば糖分取りすぎになりますよね」
「そうだねー。よーし、食べちゃおう!」
言いながら魔王は、わくわくとした様子でスプーンを手に取った。
毒性のある果物の話。