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 魔王城の一室で魔王な女の子がお手紙を読み上げていた。

「今日は西の森にすむ巨人さんからのお手紙です。こんにちはー」

「…………」

 なにも言わずにとりあえず話を聞いているのは執事な男の子だった。わざわざお手紙の内容を聞くために呼ばれたのだ。

 魔王は手紙を読み進めていく。

「早速ですが魔王様、魔族ってなんでしょう。俺も魔族ですか? という質問ですー」

 にっこり笑って言う。

「あなたが魔族だと思ったものがきっと魔族なんだよー」

「ちょっと返答が雑すぎませんか!?」

 思わず、というふうに執事が叫んだ。

 そんな様子を見て、魔王は唇を尖らせる。

「だってー。他に言いようがないしー」

「もうちょっと詳しい答え方をする努力とかないんですか」

「はーい。はるか昔に魔族のご先祖様がいましたー。ここでは便宜的に古代魔族って呼ぶねー。その古代魔族を先祖に持つ子孫がいまの魔族なんだけど、混血しすぎてよくわからないから、あなたが魔族だなーと思うものはだいたい魔族だし、みんなが魔族だなーと言ってるものも魔族なの」

「努力してくださってありがとうございます」

「どういたしましてー。それでここからがややっこしいんだけど、たとえば流行した物語で立派な服を着て喋る猫とかが魔族として扱われてると、それまで魔族って言われてなかったのに急に魔族扱いされたりするの。そういう歴史の積み重ねでわけが分からなくなるので、たぶん気にしてもしかたないのかなーって」

「だいぶ適当ですね、魔族」

「うんー」

 それから魔王は次のお便りを読み始める。

「今度はサンダータートルさんからのお便り……どうやって書いたんだろうねー」

「本当に謎ですね、それ。代筆とか……?」

「とにかくお便りの内容はー。えっと、魔術と魔法の違いってなんですかー。魔術は肉体の内部の魔力を増幅して外部に現象を発生させる術ですー。魔法は世界の魔力を使って独自の法則とか概念を発生させる術だねー」

 魔王はびしっと執事を指差した。

「ここで問題だよ-。魔術の強さを決めるみっつの要素とはなんでしょうー」

「え? 魔力の質と、肉体の頑強さ……ふたつしか思い浮かびませんけど」

 執事の言葉に魔王はこっくりとうなずく。

「生まれついての魔力の質は、魔術の強さとかどんな属性が得意かとかを左右するんだね。肉体の頑強さは魔力を増幅するのに重要なの。基本的には体が大きいほうが魔術がすごいって認識だねー。ドラゴンとかー」

「あとひとつは、なんですか?」

「当然だけど技術なの。一般の魔族は簡単な魔術しか生活に使わないから、ふたつってなってるんだと思うの」

「なる、ほど……?」

「それで、魔法はというと魔術と違って外側の魔力を使ってるから自分の適性に関係なくいろんな事象を発せさせることができるんだね。魔術は自分の内側で制御できるぶんしか扱えないけど、魔法はもっともーっと大きな力を扱えるしー」

「そう聞くと、やっぱりすごいんですね。魔法って」

「うんー。でもねー、自分の外側で、制御しきれないような大きな力を扱うっていうのは危ないことだからー。決して魔法を使おうとしちゃだめだよ」

 魔王はちょっとだけまじめな様子で言った。

魔族とか魔術とかな話。

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