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見てた

 魔王城の通路を魔王な女の子が歩いていく。執事な男の子も一緒だ。

 めーちゃんが持っていった魔法の指輪がおそらく原因で、城の壁には大きな穴が開いていた。めーちゃんを探すためにまずは穴の開いた現場に向かっている最中である。

 穴へたどり着くまでの通路の途中も、なかなかひどいものだった。窓は壊れ花瓶やそれをのせた台は砕けている。床でさえあちこちにくぼみが見つけられる。

 そうして、壁に大きく穴の開いた現場までやってきたふたりは、その被害の大きさを改めて実感した。四天王が城内で暴れるほどではないにしろ、ここまであちこち壊されていればたいした被害だ。

 執事は穴を見ながらなにやら考えている。

 魔王はきょろきょろとあたりを見回して、めーちゃんがどこにいるのかと探した。残念ながら黒っぽい四足歩行の魔物は見つからなかったものの、メイド服を着た少女を見つけた。

 通路の曲がり角に身体を隠すようにして、頭だけひょっこり出してこちらの様子をうかがっていた。

 その少女、シャティは魔王と目があって慌てて通路の奥に引っ込んだ。

 魔王は歩いて彼女のもとまで行くと、なにか怖がっているのかあわあわと変なことを口走っているシャティの服を無理やりつかんで穴の前まで引っ張っていった。

 執事もその様子に気づいてシャティのほうを向く。

「ち、ち、違います!」

 その突然弁明するシャティの言葉に、魔王は首を傾げた。

「なにがー?」

「わ、私じゃありません。壊してないです。すごい音がしてたから、よ、様子を見に来ただけで……」

「うんー。シャティちゃんが見た様子を教えてもらいたいの。なにがあったのかー」

「そ、そうなんですか?」

 メイドな少女は明らかにほっとした様子だった。

 魔王がにこにことしていると、シャティはきちんと情報を教えてくれた。

「し、知ってることはほとんどありませんけど……。すごい音がして見に来たんです。その時にはもう壁の穴も開いてて……。それで、そう、ちっちゃな魔物です。ま、魔物が走り去っていくのを見ました」

「どんな魔物だったのー?」

「く、黒い色をしてました……あと、白い点々も。首が少し長かったような……」

「指輪をつけてたりしたー?」

「え、そ、それは……どうでしょう。そこまでよく見れていなかったので……ご、ごめんなさい」

「ううんー。いいのー」

 シャティが見たのはおそらくめーちゃんだ。

 そして現場から走り去っていった……。魔王はどうしたものかと遠くを見つめた。

 シャティが言う。

「そ、それでその。魔物はあっちに行きましたけど……」

「重要情報だねー」

 とにかく今は、めーちゃんを追いかけるしかないのだろう。

あっちに行った話。

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