表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
111/367

どかーん

 魔王城の一室で魔王な女の子がちっちゃな魔物たちのお世話をしていた。魔王はこのちいさくてか弱く前線に送り込めない端的に言えば失敗作な魔物たちのことを、親衛隊と呼んで側に置いている。

 魔王は先ほど部屋を出て行った親衛隊の一匹、どこかからきらきらと光る指輪を持ってきためーちゃんのことを考えていた。

 指輪についてなにか思い出せそうで、けれども具体的なことが出てこないのだ。

 例えるならば自分が昨日食べた料理のメニューを、間違いなく知っているはずなのに思い出せないような感覚に似ている。まあ昨日は食パンやサラダや蟹づくしを食べたけれども。魔王になってよかったと思える唯一のことは贅沢なご飯をたべられることだ。あとは魔王城のみんなと仲良くなれたことか。他にもいろいろ出てきそうで唯一ではなかったので、魔王は自分の考えを訂正しておいた。

 そうしていると、子豚っぽい魔物ががおーと鳴いた。

 見た目と鳴き声が一致していないことに自分の魔物作成技術の未熟さを感じつつ、今日はポークカレーが食べたいなーと魔王は思った。

 今から頼んで間に合うだろうか。

「あ、思い出したー」

 昔に聞いた話が頭の中に浮かぶ。

 カレーのお皿が飛びスプーンも飛び椅子も机も飛び、なにもぶつかっていない壁には大きな穴が開く。

「先先代の言ってた呪いの食堂事件ー……」

 そんなことを考えていると、宝物庫の状況を確認に言っていた執事な男の子が部屋に戻ってきた。

「魔王様、宝物庫の扉が開いていました」

「私も思い出したの」

 魔王の言葉に、執事はきょとんとした。

「思い出したって、なにをです?」

「あの指輪ー。先先代の魔王が宝物庫にしまった指輪なの」

「どういった物だったんですか?」

 当然、執事は訊ねた。

 魔王は頬に指を当てる。

「えっとねー。とある魔族が鉱山で亡くなったとかなんとかで、その遺品の指輪が学校に持ち込まれたの。ただの指輪じゃなくてなんらかの力を持ってそうだから調べてみようってことになったんだねー」

「はい」

「でもその指輪が持ち込まれた途端に学校で怪奇現象が多発したのー。極めつけは食堂でお皿とかいろんなものが飛び交ったり壁に大きな穴が開いたり……。呪いなんじゃないかって言われてたみたいだねー」

「それで、原因は……?」

「指輪には魔力を操作して力を働かせる魔法が込められていたみたいなの。だから物を浮かせたり、力を叩きつけて壁に穴が開いたり。誰かがこっそり指輪を使っていたずらしてたんじゃないかって聞いたよー」

「魔王様」

「なーにー?」

「魔法が込められた指輪、ですか……?」

「うんー」

「それってもしかして、以前シャティに持たせていた、四天王すら一撃で倒せる剣と同じくらい危ないんじゃないですか」

「そうだねー」

 魔王が気軽にうんうんとうなずくと、執事は恐怖のためか顔を引きつらせていた。

 安心させるように魔王は言った。

「危ないけどー。その指輪のほうがいろんなことに使える分、あの魔法の剣ほど威力はないみたいだからー」

「四天王たちならともかく、多少威力が弱まってもまったく安心できませんけど……。肝心の指輪はどこに?」

 きょろきょろと見回す執事。

 魔王は言った。

「めーちゃんが持っていったよー」

「なんでそんな危ない道具を持たせたままにするんですか!?」

 執事が叫んだ。

 その勢いに押されながら、魔王は笑った。

「振り回すだけで斬れる剣と違って、魔法の指輪は本人の技能がないと使えないしー。それにめーちゃんは指輪を指にはめてないから大丈夫ー」

 と言った瞬間。

 どかーんと轟音が鳴り響いた。

指輪にはなんかすごそうな力が宿っている話。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ