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食べたら
魔王城の一室で、夕食を終えた魔王な女の子が皿をじっと見ていた。
つぶやく。
「毒を食らわば皿まで……」
「料理に毒なんて入っていませんよ」
どこか投げやりな様子で指摘したのは執事な男の子。
魔王は執事に言った。
「私は毒を食べてもたぶんなんともないんだけどー」
「はい」
「お皿を食べたらどうなるのかなぁ。お腹こわす?」
「…………」
執事はなんとも言えない気持ちになりつつ、皿を見た。
「皿をばりぼり食べるようなことわざじゃなくて、皿まで舐めるみたいなことわざではありませんでしたっけ」
「それはそれとして食べたらどうなるかなー」
じーっと興味深そうに皿を見る魔王。
とりあえず執事は言った。
「もしも試してみようとか思って皿を食べたら、魔王様のおこづかいから代金を減らしておきますからね。高いですよその皿」
「……やめておくー」
皿を食べない話。