表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/367

のんびり魔王様

 魔王城の一室。こたつに足をつっこんで、小さくて魔王な女の子がのんびりとしていた。

「うぅ……幸せだなぁ」

 こたつの上のみかんを、両手でころころともてあそんだりしている。

 そのそばにはいくつもみかんの皮がちらばっていて、何個も食べたことは明白だった。

 そんな部屋に足音が響き、執事服をきた男の子がやってくる。

「おー、執事くん。おかえりー」

 こたつに入ったまま、にこやかな表情を向けて魔王は歓迎した。

 執事の男の子はため息をもらす。その両手にはトレイが握られていて、トレイの上にはどんぶり。そして。

「わーい、おそばだー!」

 魔王はみかんを放り出してお箸をひっつかむと、こたつに置かれたどんぶりのおそばをずずずっとすすり始める。

「しょっぱいー」

 口の中を空っぽにしてから、うれしそうにそんなことを言ってみたりする。

 その様子を見て執事は、はぁぁっと息を吐いた。

「あのですね、魔王様。そろそろお仕事をなさいませんか」

「えー、おしごとー?」

「そうです。お仕事です!」

「……たとえば?」

 意味が分からずに、魔王はかわいらしく小首をかしげる。

 執事は告げた。

「魔王様の強大なお力で、人間共を恐怖のどん底に陥れるとか。せめて魔物たちを叱咤激励するとか。いろいろあるじゃないですか」

「でも、そういうの、四天王たちがやってるよー」

「そうかもしれませんが……だからってのんびりとしすぎでしょう。魔王様は今までなにをやっていましたか」

「んーとね。お花見したりー、ケーキ食べにいったりー。あ、そういえば今度はラベリオの舞台が――」

「魔王様らしいことをしてくださいよ、頼みますから」

「してるよ?」

 きょとんとして、魔王は告げた。

 おはしを手にしたまままっすぐに、執事の瞳を見つめている。

「執事くんにおそば作ってもらったり、こき使ってる」

「そういうことではなく!」

「えー」

「ではこうしましょう。部屋から出なくて構いませんから、どのように人間を苦しめるのか魔王様に作戦を練ってもらうというのは――」

「そういうのも四天王がやってるしー」

「四天王だけで十分じゃないですか、もう」

「というわけでおそばを食べるのー。いえーい」

「ううう。どうしたら……」

魔王城と入力しようと思ったら、魔王場と変換されました。

スキー場でスキーをするみたいに、魔王をする場所なんでしょうか。魔王のシーズン到来?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ