短剣を提出しました。
次の日の朝、俺は清々しい気持ちで通学していると肩を叩かれ振り向くと、そこには二人の親友がいた。
「おはよ~。エレン、もう風邪は大丈夫なのかい?」
幼馴染みのウズミ・トリア(12歳)。俺とは違い優秀な鍛冶職人。家がご近所と言うこともあって男同士直ぐに仲良くなった。
「おう! この通りバッチリさトリア。ありがとな。」
ニッと笑って大丈夫だとアピールする俺を見て、ヤレヤレと肩を竦めるもう一人の幼馴染みが、バレン・キャシー(12歳)だ。
キャシーも家はご近所で、昔から何をするにも常に三人一緒だ。
「エレンが風邪を引くなんて、嵐が来るわね。」
「もう直ったつ~の!」
俺達三人が向かっているのは、この【ナーロウ王国】が運営している幼小中高一貫校の【ナーロウ国立工業学園】だ。
俺達の住んでいる【ナーロウ王国】は、数ある工業王国で、主に鍛冶製造業の産業で成り立っている。
それ故に、国の政策で子供は18歳までの義務教育が課せられている。
「ところでエレンさ、休んでる間に順位品は出来たの?」
今日は1月に一回の順位品の提出日。コレは学園のルールで定められている。この順位品とはそれぞれのジャンルで順位を競い、学園に認められた上位の順位品はオークションに掛けられたり、勇者様や騎士団の方々に買って頂けるかも知れないチャンスがあるのだ。
つまりそれは、各々の家の評価に繋がり、お店の宣伝となる。その結果、店は潤い、国は産業としてますます発展すると言う訳だ。
「おう、ちゃんと昨日作って間に合わせたぞ。」
鞘に入れた短剣をカバンから取り出して見せる。
「大丈夫なの?……いつもはショートソードを作るのに。時間がなくてやっぱり作れなかったの?」
いつも俺が「ショートソードランキング300位にいつか入ってやるぜ!」と、 息巻いているせいである。
「そうじゃねぇよ。何時もと違うのはちょっとワケ有りだからよ。まあ、あっと言わせてやるよ。」
そう言い、短剣をカバンに仕舞い込む俺を見て、二人は怪訝な顔をして顔を合わせるので合った。
◇◆◇◆◇◆◇
教室で順位品の提出が行われていき、魔導板に次々と表示されていく中、ついに俺の短剣が表示されてざわめく教室内。
うしししし、みんな驚いてる。うはーーー最高の瞬間だな。俺の書いた小説の主人公みたいだ。
「エレンくん、この順位品は無効です! 先生とちょっと職員室に来なさい!!!!」
首根っこを掴まれ引きずられる俺……
____どうしてこうなった?