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18/20

このエロ親父が……

 試合後、依頼を無事果たせたので大会を棄権した。そのおかげで棄権しようとしてた多くの参加者が試合へと戻り、大会はつつがなく終了したが……流石に興ざめした王であった。


 特にエンガイさんや他の勇者達からしつこく戦いを申し込まれたが全て断った。理由は簡単だ。何故どつきあって痛い思いをしなくてはならん? アーロンの時なような力を振るうつもりは俺はない。


 さて、そんな俺達は王様が用意して下さった工房にて、例の自然武器(王の女)を作ろうとしていた。そして、ご丁寧にダンジョンコアを10個も用意しやがった……この——


「エロ親父が……」


 なんと、王とその王妃達がわざわざこの工房に足を運びに来られていた。その理由は……


「違うのだニーナよ。妻がな文句を言うのだ……余ばかり楽しむなのら、妻にも同じ物を与えよと言うことを聞かないのだ……」


 ニーナってのは俺の偽名……と言っても、王様はどうも遠くから鑑定できるアイテムを持っているようだから、俺の変装もばれている筈なのだが、何故か付き合ってくれている。


「でも、お約束は五体までですよ、王……」


 そこへ王を挟むようにして詰め寄る王妃方が俺に詰め寄る。


「ニーナとやら。そなたも女なら(わらわ)達の気持ちがわかろうぞ? 男達だけズルいと思わぬか? 風俗も男娼は圧倒的に少ないわ……王は我ら一人相手にするのもやっとだし! もうたまっておるのじゃ!」


「私まだ10代ですよ! 週一じゃ体の疼きがとれるものですか!」


「王! だから(わらわ)達にも一体ずつ所望します!」


 そうとうここに来る間搾られたのだろう。少し痩せ細ったようにみえる。


「ニーナよわかっておくれ……王がもっとしっかりしておればこんなことを言わなくてもよいのだが……」


「しかも我らと言う者がありながらまだ欲しがるとは……」


 五人の妻は、上が王と同じく30代半ばくらいで一番下が俺と同じくらいの娘までいた。五人もいるのにアイナに目移りするのも仕方がないなと、男としては理解できてしまう。愛とアレは別物で楽しめるし。


「ただ、約束は五体までです。それ以上となると料金かそれに見合う物を頂戴することになりますが……」


 断れる雰囲気ではないし、こちらも慈善事業じゃない。評価品を作るための素材代を稼ぐのもありと考えて俺は交渉した。


「おおーー! 話が早くて助かる。では追加で五体頼む。して、金と物のどちらがよい?」


 王妃様達も喜んでいるしいいか……それと……


「それは出来上がった物を見てから王様がお決めになられて下さい。それと過分にお支払になる必要はございません。まだ見習いの身ゆえ、ご期待に添えるか自信がございません。」


「謙遜ねー。あの娘を見る限りとてもそうはおもえないけど。期待してますわ。」


 一番上の王妃様に続き同意する他の奥様方。なんだか後押しされた俺はリンメイとアイナに手伝ってもらい作業を開始する。


「パパ。頑張って!」


「モモ。ああ! パパ頑張るから見てろ!」


「うん!」


 ずっとそばから離れない娘。まだ痛む体を起こしこうなのだ。だから俺は無理をさせないようにそばにいさせることにした。こういう強情なところは俺の娘らしい。


「パパ?」


「あははははははは」


 王妃様達が不思議に俺とモモを見ていた。歳も同じで女なのにパパだもんな……そりゃ疑問に思うわな……


 咳払いをして誤魔化すようにしてから、奥様達の要望をから聞き出し話題を反らした。


 ………………

 …………

 ……

 …


 

 10体の自然武器(ネイチャーウエポン)プラス王様への献上武器が並べられていた。


□■□■□■□■□


【製作者】⇒マーク・エレン

【所有者】⇒カクヨーム・カ・ドカワ

【分類】⇒短剣⇒ショートソード

【材質】⇒鉄

【攻撃力】⇒30

【入力文字】⇒【王勇者化】 4/4文字

【総合評価】⇒Aランク


□■□■□■□■□


 刃渡り60cmのショートソードを王に手にする。どこにでもある至って普通の武器。装飾も最低限に止め、優雅さはあまりない。

 だが、手にした王は鞘から剣をゆっくりと抜き、自身の内から沸いてくるものに興奮する。


「ふははははははははは!! エンガイよ! 剣を抜け! 俺の一撃を受け止めてみよ!」


 とエンガイさんが返事を返す隙もなく上段から一直線に降り下ろすと、それを剣を横にして受け止めたエンガイさんは衝撃で後ろへ体ごとひきずられてしまう。

 重く早く……それはまさに勇者クラスの一撃であった。


「見事なり!! ニーナよ!! この武器、誠に気に入った!……まいったのう。妻達のアレと言い、余のこの人形……いや、女神に対価を払うとなると高い買い物になりそうだ」


□■□■□■□■□


【製作者】⇒マーク・エレン

【所有者】⇒カクヨーム・カ・ドカワ

【分類】⇒自然武器⇒嫁

【材質】⇒ダンジョンコア

【攻撃力】⇒1000

【入力文字】⇒【王之嫁美女神変形】 8/8文字

【総合評価】⇒Sランク


□■□■□■□■□


□■□■□■□■□


【製作者】⇒マーク・エレン

【所有者】⇒カクヨーム・カ・ミネバ

【分類】⇒自然武器⇒旦那

【材質】⇒ダンジョンコア

【攻撃力】⇒1000

【入力文字】⇒【妻之望美男神変形】 8/8文字

【総合評価】⇒Sランク


□■□■□■□■□


 彼等はアイナと同じく金属しだいでいかようにも変形できるし、それが奥様達から好評だった。そして、王も今夜が楽しみのようである。


「納得していただけたようで何よりでございます。では報酬は明日の帰国までの間によろしくお願いします。」


「なんじゃ!? もう帰ってしまうのか? もう少しゆっくりしていけばよかろう……」


「家族が待っていますので、また御用がおありの際は……ナーロウ王国のマーク家へお越し下さい。しがない武器屋をしていますのですぐにわかるかと。」


「わかった。それにしてもダンジョンコアが値上がりしそうとは思わんかニコよ? ぐふふふふ。」


 護衛でついでに来ていたニコさんは羨ましそうに奥様達の男神を見ていた。そして、いくつか家に置いてあるダンジョンコアを持って俺に依頼しようとしていた。そんな内心を見透かされたようで恥ずかしそうに顔を真っ赤に染めていた。


「意地悪ですわよ貴方。ニコ、貴女も遠慮することはないわ、うふふふ。なんでしたらたまに交換して楽しむのもありですわ。おーほほほほ」


「王妃様!! そ、そ、そのような……」


 ゴクリと唾を飲んだ彼女を王妃様達はツンツンとつついていた。ニコさんはなんとも言えない顔で真っ赤になっている。


「材料持ち込みでお願いいたします。……そうですね……30分以内に持って来ていただけるのなら今すぐに作りますよ?」


「急いで取ってくりゅ~~~~~♪」


「「「「「「「「「「あははははは」」」」」」」」」」


 勇者からただの女の子に変わったニコさんを見て俺らは笑っていた。



 ………………

 …………

 ……

 …



 バレット・ミランダ先生はナーロウ王国国王、ナーロウ・ナ・ニガシに呼ばれて王の間で膝まついていた。用件とはズバリ——


「——ぬぅ、マーク・エレンはいつになったら学園に復学するのだミランダとオードリーよ……」


 ミランダ先生の横には理事長のオードリー、ミランダの姉も膝まついていた。


「その……あれから本人の家にも訪ね謝罪しに行っているのですか、両親も彼の行動に賛成しており、また、本人も素材集めに向かい不在で……」


 ニガシ王は玉座に座り、肘掛けに人指し指をコツコツ叩きながらもう片手に持っていた紙束を二人に投げつける。


 それを二人はそそくさと拾い上げると王は——


「読め」


 そこに書かれたことは、カクヨーム王国にて偽装したエレンと思わしき女性が燐国の王と接触し、アイナという未知の自然武器(ネイチャーウエポン)を献上した報告が密偵により詳細に記載されていた。


「こ、これは!?」


「エレン君は一体何を……」


「——恥とは思わんかね? 自国の民が他国の王のみに献上し、……あれほどの物だ。すぐに噂は広まっておろう……儂はいい恥さらしだと思わんかね?」


 工業大国として名だたるナーロウ王国の国民が自国の王より何故他国の王にこれだけの献上品を送ったか? それは彼の才を認めずに捨て去ったからだと結果的に公表したようなものである。


 つまり、ナーロウ王国は才ある若者に目をむけていない……いや、捨てている。


 チャンスだ。

 他国からしてみればこの機会に多くの者を見いだしスカウトする機会。王はなんといってもあれだけの才ある者を御することも出来ぬ王なのだから。


 つまり、今回の一件を端から見ればそう捉えられてもしかたがなかった。面子がまる潰れである上に大なり小なり他国のスパイ活動は活性化するであろう。


 国益を考えれば大損害であった。マーク・エレンがこれで他国……特にカクヨーム王国に移るなどと言い出したら目も当てられない。そこで顔面蒼白な二名に命を出した。それも今回の一件にふさわしい罰則もつけて……


「3日だ……3日以内に儂の元へマーク・エレンを連れて来い。もし期限内に連れて来ない場合は両名そうだな……多少薹(とう)が立っているとはいえ、うむ、そこそこ美しいほうだな……」


「ニガシ王……まさか……」


「ま、ま、まさか……」


「決めた! 両名、3日以内にエレンを儂の前に連れて来ぬ場合はエレンの性奴隷として奴隷紋を植え付けることにする。逃げ出したり、逆らえば即刻死刑だ! よいな……」


「お、お待ちくださいニガシ王!……」


「あ、あ、あ……」


 王の間から兵士に追い出されてしまった二人は急いでエレンの自宅に向かうのであった。


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