退けないよな!
戦いが始まり俺とリンメイは向かい合う。空き地を取り囲むギャラリーの声なんぞとっくに聞こえねえ。開始直後に様子を見て、じっとしてる? いや! 俺はどうせ散るなら派手な方がいい! それに体力は奴の方が圧倒的に上、俺の【武術極大】があってもリンメイも同レベルだろうからな。なら、短期決戦で行ってやるぜ!
「目を閉じんなよ!! リンメイ!」
仕掛けるのは俺からだ! まっすぐに飛び出した俺はレールガンを短剣のように扱い先制攻撃を仕掛け突く。
リンメイはそれをドラゴンを模したナックルで払い、懐に入ろうとするが、レールガンを払ったナックルから火の粉が溢れ、削れていく己の武器を見て慌てて払いから、体移動で避けようと、無理な体勢でかわす。
「なっ!? アダマンチウムが!?」
「余所見してんじゃいねぇよ」
自慢の武器の一部が破壊されたことで俺から目を離し、狼狽えた隙を逃さない。俺はその場で右回り回転をし、回転の勢いを上げる為にレールガンを噴射させブーストさせる!
「うらぁ!」
その勢いのままにローリングエルボーを叩き込む!
「グゥッ!」
リンメイの丸太のような右太股に俺の肘がめり込むと片膝を着くが、その勢いすら利用して俺の頭に両腕を組んだハンマーヘッドを打ち降ろしてくる。
「ガハッ!? こぉんのやろォ!」
頭がガンガンするが、辛いのは奴も同じだ。今度は逆回転をして、同じくレールガンを噴射し、勢いを付け、奴の左太股に左肘をめり込ませる。
「グゥッ! まさか、あたしが両膝着くなんて! 逃がさないよ!」
足が死んだリンメイは痛みを無視して俺の胸ぐらを掴み、俺に頭突きを喰らわす。
「痛ッッてぇな! このッ!」
その場で前に空中一回転をして、浴びせ蹴りを頭に喰らわせるが、咄嗟に胸ぐらを掴んでいた片手を離して、両腕を交差させガードをする……だが!
「甘い! レールガンのバーストを舐めんなぁぁ!」
逆手にレールガンを持ち、顔をずらして撃つ! 更に加わった勢いのまま俺はガードごと押し潰すと、メキッと鈍い音が鳴り、奴の鎖骨に俺の踵がめり込む。だけど止まらない。リンメイはお構いなしに空いた手でボディーブローを入れて来やがった。
「グッ~~~~~ガハッ~~のアマァ!」
大した奴だ……左腕一本と腰の回転だけで打ちやがった……野球のキャチャー張りの体移動じゃねぇか!……離れてやれば倒せるかも知れないが気が変わった……
「グアッッッ!! ……!? どういうつもりだ!」
距離を取らずに間合いにいる俺に激昂するが、俺の返事は拳で返してやる!
「こういうつもりだ! おりらぁッ!」
レールガンを腰のホォルダーにしまい込んだ俺はリンメイの横っ面を思いっきり殴る。
「グフッ!?……ペッ……なんだい、ふふふ、アンタも同類かいッ!」
寸分たがわずボディーに入れて来やがった。こんのクソアマ! お返しだ!
「ざけぇんな! 戦闘狂と一緒にすんなッ!」
右アッパーで寝ろ!
「~~~~~~ッッ! その割りには笑っているよ、アンタッ!」
浸透剄って奴か!?……オエッ……胃が……
「~~~~~~~~ッッ!!……ペッ……俺を変態にすんなッ!」
コークスクリューパンチでいい加減堕ちろ!
「ガッ~~~~~~ッッ! みんなそう言うんだよ!」
そこから5分近く殴りあってお互いに前のめりになり、たまたま入ったカウンターで……
「チクショウ……あたいの負……け……か……」
ドシンッとリンメイが倒れた後に俺も限界が来てブラックアウトした。だが、その前に俺は一言言いたい。
同類にすんな!!!
このバトルを見てた男は少し遅れてこの現場に来ていた事を後悔していた。……そして、カクヨームから来たかいもあったと細く笑むのだった。




