お酒デビュー!
酒だよ酒! 体が大人になった俺達は今夜、酒場へと繰り出している。そして、ビックリだよ……幼馴染みのウズミ・トリア(元12歳)とバレン・キャシー(元12歳)が20歳の美男美女になって周りの注目集めているし。
「マリー良かったな、貧乳にならななくて。」
「エレッ……エレノバ! どこ見てんのよ! トニアまで何よ……」
バレバレな偽名の設定を忘れるとは、乳のデカイ女は血が胸に行くって言うのはホントだな……しかし、デカイな……
「綺麗だよキャシー……ハッ!? ごッゴメン! ななな何でもないよマリー!」
「あまーーーーーい! 何が『何でもない』だよ……おい、マリー、お前も何赤くなって……かーー……大人になったらどういう風に俺達三人が別れるか、俺にはもう分かったね。結婚したら呼んでくれや、うししし」
「「何言ってるんだよ・のよ、エレノバ!」」
おーおー、ピッタリとハモッた上、顔を合わせてモジモジしてるし、見てるこっちが恥ずかしくなるわ! だけどよ、この二人がくっつくなら俺は、心の底から祝福するぜ、トリア、キャシー。
「パパ、仲良しさんだね」
「本当に、クスクスクス」
「なー、俺のお嫁さんは二人もいるからいいけどな。」
モモも顔が腫れているが、徐々に回復して来てる。明日にはスッキリと直るだろう。それにモモはあどけない無防備な顔を俺に何度も見せてくれるし、アイナはそんな俺に多少焼き餅を焼いて胸を押し当ててくる。いい事だらけのこの夜に、運ばれて来たエールを持って……
「「「「「「乾杯!!!!」」」」」」
木で出来た小さなジョッキに並々と注がれたエールが喉を通って行く。ネックレスタグの効果もあり最高に……
「うまい!!! 苦いけどコクがあって、最高だよ! それに胸がカァーッとする。」
「うめぇーーー! ひゃーーー久しぶりだぜ!」
「美味しいわ~♪ ズルいね、大人はさ。」
「ふふふ、マリーさん。私達、大人だよ。」
「鉱物も良いですが、コレもアイナは好物になりそうです。」
ネックレスタグの効果もあって、ただのエールが最高の美酒へと変わる。鳥の手羽先を焼いた物をツマミにして盛り上がる俺らの所に、6人の酔っぱらいが近づいて来る。
「よぉ~にいちゃん達よ。なんでぇ~、いい女を連れているじゃねぇかよ。へっへへへ、俺らにも一人くらいわけろや。」
「止めときなよオッサン。力づくで女を手にしようだなんてダサいよ。それにケガしたくなかったら帰んな。」
シッシッと追い払う仕草をするが、もちろん帰る訳もなく襲い掛かって来る酔っぱらい。
「パパの敵! えいっ! やぁ! せいっ! しっ! はぁっ! ていっ!」
モモがユラリと動き、酔っぱらいのアゴ、みぞおち、男の急所、喉、首、目をムチのようにしなる腕や足で蹴る、殴る、叩く、潰す、……最後の目潰しの後に残像が追い付いて、体のブレが収まって見えた位見事な動きだっだ。
「ゴミを出して来るわね貴方。」
酔っぱらい6人を片手で摘まむと、次々と店の出入り口へ向かって投げ飛ばすアイナ。女性の細腕で大の大人を軽く放る様は、見てて異常に思えるだろう。
そうして、肩を組むようにしてのそのそと酒場を出て行く酔っぱらい達を余所にして、再開しようとした時だ。一人の女が興奮した様子で俺達の向けて拍手する。
「あはははははは! いいねいいね! なんだい。いるんじゃないのさ、ナーロウにもさ、骨のある奴がさ。」
龍の顔を模したナックルを両腕にハメ。チャイナドレス風の衣装を纏った巨人族のお姉さんが俺らの所に足音も立てずに近づいて来る。
身長3mは余裕で越し、蒼く腰まで丈のある髪をなびかせ、引き締まった色っぽくもなまめかしい体にある種の恍惚とした顔……いや、その女の目を一目見て分かった。
「戦闘狂 だよあれ……お前ら下がってろ。」
止めようとする五人を無視して俺は前に出る。いるんだよな客にあの手のタイプ。それはこの街に住んでれば嫌がおうにも会う人種。つまり、こうなる……
「あたしと勝負しない? こんな所でさ、本当は絡むほど野暮じゃないんだけどさ……あんなの見せられたら無理だ……」
はい、この手の人種は血を見たり、強者を見ると抑えられない御人です。
「ここじゃあ、店に迷惑が掛かるからよ、表に出ろ。俺はエレン。あんたは?」
「リンメイ。他の者には手を出さんから安心しろ。それと私に勝ったら……」
「はいはい、好きにさせてもらうから手を出すなよな。」
強いな……この巨体で足音を全くさせない。それに外野の客が「龍殺しのリンメイじゃないかアレ!?」とか言ってるし……
店を出て横にある空き地に行くと何だよ……酒場の客までついて来て、なんか祭り騒ぎになっちまったよ。おいおい……それに……
相変わらず連れは自分が出るとか言うし、はぁ~~……
「トリアもキャシーも却下、お前ら一気に飲んだから少し酔ってんだろ?」
「ぐっ、でもエレン一人じゃ!」
「あんた、普段から隠れて実は飲んでたでしょ? 飲みなれてるし!」
酒の飲むペース配分が出来ない程、前世では無茶飲みしてなかったさ。
「んなわけあるか。はいはい、お前らはとにかくダメ。」
「なら、モモがまた」
「モモは論外、さっきは見守ったが、あれの相手はパパが許しません。」
レベルが違い過ぎるし、ボコされているところをみたら、レールガンが火を吹きます。
「そんな!」
「パパにも格好つけさせろ。なっ?」
ニッと笑い頭を撫でるとアイナに顔を向け一言。
「何があっても四人を守りぬけ。頼んだぞアイナ。」
「はい、貴方。いってらっしゃっいませ。」
流石、俺の嫁。ここであれこれ言い返すようなら俺の嫁とは言えんわな……さてと……いっちょっ戦闘狂 とやりますか!
「いつでもいいよ! 掛かってきな!!」
両拳のナックルをガンッと鳴らして巨人は構える。
レールガンと武術のコラボ、果たしてどこまで通用するか……
「行くぜ!!!!!!!!!!」
俺の血もなんだかんだ言ってたぎっていた。




