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2キャラ目、ヤバイ大変だ

(クッ!運命の女神が仕事してるとは、それほどの事態かッ!!)


それほどの事態とか、言わないでおいてやれよ。


なにその、テ◯東が番組中断して緊急速報流したらヤバイ、的な危険度の指標。


運命の女神が働いたらヤバイ、的な感じなの?


それって、神としてどうなのよ?




(我も封印から解かれて間も無かったが、ここに辿り着くまでに、どうもおかしいと思っていたのだ!しかしまさか「運命」が仕事するほどの異常事態であったとはな!!)


ん?

マジか!

邪剣は最近まで封印されていた、だと!?

封印されし邪剣とか聞くと、おれの中二病魂が荒れ狂うんだけど。

ぐっ静まれ!!


(何が起きておる!?このバローグにいったい何が起きておるのだ!!?)


あー、はい。

まぁ、ホントに異常事態だと思うよ。

だって今、この世界には『認識不可』で、『世界喰らい』で、『神殺し』の超ヤバイ化け物がいるからな。

これ、さっきも言ったんだけどね。

おれの、『運命の女神の代行者』の目的は、『奴』を倒すことだ。


(クッ……そうであった………あうぅ…恐怖が………いや、そうか、『神殺し』であったか?そう言ったのだな?ならば、この世の乱れは、やはり神々の不在が原因ということか……)


なんかすまんね、また怖がらせちゃって。

世の乱れ?

って、なんですか乱世ですか?

この世界はそんなに荒れ果ててるのか?


(ん?オヌシなら、知っておるのではないか?神の使いであろう?)


いや、知らないよ?

残念ながら残念なので、この世界のことはさっぱりわからないよ?


(待て待てッ!さっぱりわからんだと?なぜだ!?わからんのは我の方だぞ!!オヌシ、『運命の女神の代行者』なのであろう!?神が代行者を立てるなど、よほどの目的、よほどの信頼がなければ有り得ぬであろう!そのオヌシが、この世界の有様を知らぬ、だと?)


いやー、なんか、いちいちすまんね!

残念ながら残念なので、代行者とやらになったのも、まぁ、なし崩しっていうか、選択の余地なしっていうか、そんな感じだったんだよね。


(なぁっ!?なし崩しで代行者になどなるでない!馬鹿者!!いや違うのか、オヌシではなくあの「運命」の怠慢小娘の所業であったな……)


あっ、ちょっと待てよ。

いちおう確認しとくけど、邪剣は、『昨日』で運命の女神が世代交代したってこと、知ってる?


(いちおう?って知らぬ知らぬ!!?待て話がぶっ飛び過ぎだ馬鹿者!ちょ、ちょっと待てくれい、ぶっ飛んでるのはオヌシの存在だけにしてくれぬか?ええ?ちょっ、えっ?「運命」が?怠慢小娘はどうなった?やっぱり働いてないのか?)


ふむふむ、そうだよね、知らないよね。

またちょっと思い出させちゃうけど、おれなんかよりよっぽどぶっ飛んでる敵がいるわけだ。

『認識不可』で…。

(待ってコワイいやだわかったから!!オヌシの敵の話だな!?覚えてるような知らないような聞きたくないようなその話なのだな!?それがどうしたのだ!?)


なんか『昨日』、運命の女神がその敵に敗北したらしいよ。


(なぁっ!!?)


そんで、『昨日』からは新しい残念な子が運命の女神になってるんだよ。


(馬鹿なッ!!敗北!?いかな怠慢小娘とて、神なのだぞ!?しかも「運命」だぞ!!?なんなのだその敵とやらは!?何者だ!?神をも凌ぐだとッ!!?)


うん、凌ぐんだってば。

だから『神殺し』で…。

(待ってコワイやめてムリ聞きたくない!!)


まぁ、そんな事情だから、邪剣の言う、怠慢小娘とやらは、おれの知ってる運命の女神じゃないんだよ。

たぶん。

きっとね。

いやまさか。

怠慢小娘とかそんな残念な通称で呼ばれる女神、おれは知らないよ?

絶対知らない!

これっぽっちも思い浮かばないんだからね!!


(フムム、釈然としないが、オヌシの言うことなら、我は信じよう。それでオヌシは、今代の「運命」に見込まれて、その敵とやらを討伐する使命を帯びておるわけか。しかしそれでは尚更、オヌシがこの世界の現状を知らぬ理由がわからんぞ?)


それな?

おれ、実は異世界から来ました!

なんかいちおう隣の世界らしいんだけど、地球とか日本とかって知ってる?


(いっ!!?異世界だとッ!!?このバローグに!?馬鹿者が!無茶しおって!!いやそうか、オヌシではなく、あの怠慢小娘の所業か…………いや違った、今代の「運命」の仕業か。代替わりしても「運命」は非常識ということなのか………)


邪剣、不安になるからやめてくれ。

無茶なの?

無茶だったの?

このバローグに異世界から来るのは非常識なことだったの!?



(………残念ながら)



残念、なんだな?



(この世界の主神は「均衡」だ。このバローグの世界の理は、今は均衡律という定めによって守られておる。それは、この世界の均衡を保つ為だけにあるものなのだ。だから、この世界を乱す因子や、このバローグにとっての異物に対しては不寛容で、容赦無く粛清対象とされるのだ)



おやおや?

均衡律?

その話、知ってたわ。

たしか万眼先生に教えてもらったよね。

あれでも待って?

ヒャッハー異物は粛清だ?




(つまり、もしも異世界から来たのであれば)



(この世界の主神、「均衡」を司る女神にとって)



(オヌシは、粛清するべき敵だ、ということだ)





嘘でしょ?





(案ずるな!「運命」はともかく、「均衡」ならば邪神様ともハッキリ敵対しておる!!だから我とオヌシは味方同士だぞ?クフフッ!嬉しいのう!我はオヌシといっしょにいても良いのだな!)


ちょっと待て。

おいおいおい、聞いてないよ?

聞きたくなかったよ!?

嘘だと言ってよ!!?

えっ?

なにそれ?

この世界に来た時点で、自動的に主神とやらと敵対しちゃう仕組みだったの?

どうしてなの?

どうしてそうなるの?

あー、そうだった。

そうだよね。

残念だから、だよね……。

ちくしょう…………あとデレ邪剣可愛い……。


(かっ、うぅ、ばかもの、筒抜けだと言っておるであろ?我は汚い邪剣だと言っておるであろ?)


あっ、また怨霊湧いたわ。


(チッ!また間の悪い…)


ちょうど良かった。

残念なお知らせはもうこりごりだ。

スカッとさせてもらうぞ?

邪剣、いいか?


(うっ、うむ。また我を、上手に扱ってほしいぞ……)


さーて、邪剣に魂を貢ぐかー。

あれ?

なんか、ホントに邪神の仲間みたいじゃん……。












っていうか、怨霊湧きすぎだろ!!?


進んでは斬り飛ばして。

進んでは消し飛ばして。

どんどん進みながらシュワ消して。

それでもまだまだ大量に湧いてくる。


(我の蓄積量も、そろそろ限界だぞ?というか、邪神様に及ばぬ我が、これほどまでの魂の量を喰らうことがあるとは、思ってもみなかったのう)


ヤバイな、そろそろ怨霊がウザすぎる。

もはや姿を見せなくなって、壁とか天井とか床の中から、ひたすら大鎌を振り回す戦法に切り替えてきやがった。

大鎌も魂の集合体っぽいから、攻撃すれば消せるんだけど、数がどんどん増えてきた。

ここまでくるとアレだな。

もはや敵モブじゃなくて、超大量のステージギミックって感じ。

マジ四方八方から鎌がビュンビュン突き出してくる。

ゲームだったら完全に心折れるレベル。

警戒するのも避けるのも超めんどくさい。

どうするか。

邪剣もお腹いっぱいって言ってるし、無視して突っ切るか?

よし、そうしよう。


邪剣、こいつら無視して走っていくけど、問題無いか?


(うむ、特に問題は無いぞ?心配しなくても、我はオヌシにどこまでもついていくからな!)


いやそんな心配はしていない。

むしろ本当に邪剣ルートに突入しちゃってそうなのが心配でならない!


じゃあまぁ気を取り直して。


征くかッ!!!


最速の踏み込みで、振るわれた大鎌どもを背後に置き去りにする。


重い重い、身体が重い!


とはいえ、さすがにこの身体もそろそろ慣れてきたかな。


しょうがない。


ついつい無明さんと比べちゃうけど、一般人ならこんなもんだよな。


暗闇のそこかしこに、怨霊の大鎌がうっすらと見えているが、振るわれる前に駆け抜けていく。


おっ?


なんか。


先が広い?


空洞っぽいのがあるな。


あっ、ちょっと明るいかも。


とうとう出入口まで来たか?


(あっ!?ちょっ待っ)


よし空洞に着いた!


へー、割と広いな。


ダンジョンの大部屋って感じだ。


ん?


背後でズズンって音が?



(しっ!?しまった!!)



ん?どうした邪剣?



しまった?



あっ、閉まった。



この空洞に入ってきた出入口が、石の壁で塞がれていた。



まぁいいか、別に戻らないし。



さて、出口はどこだろうね?



大部屋の中央に向かって歩いていく。



(……………あの)



邪剣、出口はどの辺なんだ?



(でっ!?いやっ、その………)



あー。



なんかね、最近、嫌な予感がね?



嫌な予感がする気がするようなことが多くなった気がするよね!



でも気のせい!



きっと気のせい!!



(………間違えておった)



聞こえない!



聞こえないよっ!!



聞きたくないよおおぉーーーッ!!!!




(逆に来ておった………)




先に、進んでました。




この「魂の牢獄」には、邪神の魂が捕らわれている。


外に出るはずだったのに、先に進んじゃってました!


あー。


帰りたい。


帰りたいよぉ……。



(すっ、すまぬ、申し訳ない…………わっ、わざとではないのだぞ?その、ほら、最初、オヌシがぶっ飛んでる存在すぎて、混乱しておって、な?)



あぁ、うん。

なんかすごい慌ててたもんね。

大丈夫、わかってるから。

残念だからだよ。

しょうがないんだ。

全部、残念のせいなんだよ!


なんかね?

こうなる気はしてたんだよ?

進むと邪神がいるってわかったときから、なんかこうなりそうな気はしてたよね。

お約束ですよね!

だからこの展開ぜんぜん予想通りだよ!?

負け惜しみとかじゃないよ!!?


それに、今思い返してみればさ、おかしいじゃん。

おれが気付くべきだったじゃん。

怨霊、湧きすぎじゃん?

しかも大鎌持ちとか、強いほう出てきちゃってるじゃん?

これって、どう考えても進んでるよね?

チュートリアル、いっぱいしたよね?

それなら、わかるはずだよね?


あの通路に刻まれていた、ぼんやりと光る、呪文っぽい紋様。


この大部屋が少し明るく見えたのは、その紋様がびっしりと刻まれていたからだった。


これ、絶対ヤバイやつだよ……。


この部屋、封印の間とか絶対それっぽい部屋だよ!


絶対この部屋一番奥まで来ちゃってるよ!!




「オイ」




部屋の中央に、人型のなにかがいた。




「なんだ貴様は?」




(あっ、うっ、御方様……)




「なんだ?オレが誰だか知っているのか?」




黒い長髪。




気怠げな面持ちの美青年。




眼光だけがやけに鋭くこちらを探っている。




その瞳が、おれの存在を覗き込んだ。




「ここまで辿り着いた時点で、只者ではない、か」




そして全裸。




なにゆえかおもむろに屹立せしめた神級の巨塔。




それを見て確信した。


コイツは邪神だ。


間違いない。


すごく、邪神です。

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