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1キャラ目、戦局・第一段階

無明が自らの意志で歩き出す。



『漆黒』もこちらに向かっている。



『奴』との距離が縮まっていく。



(どう?無明、久しぶりの身体、いけそう?)


「大丈夫だ、問題な…」


ちょっ!!

(ちょっ!!バカ無明!それ死亡フラグ!!)


「ん?死亡、ふらぐ?」


(ググれバカ!!)


「ぐぐ?何だ、また異世界の言葉か?」


っていうか、今のは万眼先生のフリが悪くないか?


(え〜?あんな有名なセリフ使おうとする無明が悪いんじゃん!)


いや有名って、万眼先生、地球に毒され過ぎでしょ。


(もう!いいでしょ!無明のバカ!アンタのせいでせっかく盛り上がってた雰囲気が台無しじゃない!)


「なに、これくらいで丁度良い。隣の兵とは死地に入る前に話しておかねばな。後で、は無いかもしれん、そう教わったものだ」


「代行者殿のおかげで、万眼も楽しんでいるようだ。良ければ構ってあげてほしい」


あぁ、やっぱり万眼先生って、かまってちゃんなんですね……。


(キミまでそんなこと言うし!!もう!やーい泣き虫!)


なっ!!

「なっ!泣き虫っておまえ!」


(おやおや〜?泣き虫が2匹も釣れちゃったぞ〜?あのね代行者クン、無明ってばね)


「おまっ、おまえこの局面でそんな話を」


(あら?死地に入る前に話しておけ〜、とかドヤ顔かましてたのは誰だったかしら?)


「どやがお?いやだからっておまえ、その話は!俺の集中が乱れるだろう!」


あのー、お二人さん、イチャつくならよそでやってもらえませんか?


(イチャついてないし!)

「イチャついてないぞ!」


おいおいー、息ぴったりだなー。





空間に亀裂。




が見えた瞬間。




無明の刺突が大地をえぐり飛ばした。



なッ!!?

んだよこの威力!!!?

オイいつ踏み込んだ!!?


『奴』が未だ離れた位置から空間ごとこちらを割り砕こうとした瞬間に、無明は地が爆ぜるほどの踏み込みでその距離を瞬時に消し飛ばし、『漆黒』に渾身の刺突をぶち込んだ。

まるでビーム砲でもぶっ放したかのように、『漆黒』の後方の地面が豪快にえぐられていた。



「俺の全霊の一撃だったんだがな」


(無明、わかってるわね?)


「あぁ、任せろ」


目の前の空間を塗り潰す『漆黒』には変化が見られない。

無明はその場で2撃目を叩き込む。


(代行者クン!自力では戦況を追いかけられないだろうから、キミにはあたしが補正かけて情報送る!ただし!できるだけ早く無明の感覚に慣れること!今キミは無明ともあたしとも魂の繋がりがある!この戦闘中にあたしたちの感覚に追いつくことがキミの課題!途中で万眼先生の解説も入れるから、全てその魂に刻み込むこと!それじゃあ今日も万眼先生の楽しい授業が始まるぞ!準備はいいかな?ダメでも始めるよ!)


うおおなんだよその高速音声!?

音声じゃなくて思念か?

っていうか先生、緊張感とか自分でぶち壊してない?


(うるさい!集中する!)


はい!先生!


無明の2撃目は素早く引き戻された穂先を間髪入れずに突き出す最速の刺突、2撃目などではなく、一瞬で同じ箇所に何度も繰り出された連続突きだった。

無明が瞬時に跳び退がると、『漆黒』の前方の空間がひび割れて喰われた。

無明は右に回り込んで再び突進からの渾身の刺突。衝撃波で地面が削れ飛び、『漆黒』も数メートル先に移動、どうやら吹き飛んだらしい。


(今の『奴』は省エネモード。ふざけたことに本気で全ての世界を消してしまおうとでもしてるんでしょう。だから普段は出来る限り無駄な力を使わずに力を蓄えておくように立ち回る傾向にある。『世界喰らい』でひたすら大雑把に空間の破壊に巻き込もうとしてくる。カスっただけで終わるからね。だけどあたしがいる限りその程度の攻撃は通用しない。『奴』はいつか当たるだろうとしばらく空間破壊しかしてこないでしょうから、その隙に一気に『漆黒』の蓄積を削ってしまう。そこまでが第一段階ね)


吹き飛んだ距離をまたも爆速の踏み込みで帳消しにした無明が下方から打ち上げ気味に刺突を放つ。『漆黒』は吹き飛ばずその場で上方にぶれる。

無明は穂先を引き込みつつ半回転し逆側の柄の先端を突き込み、正面に向き直る動作で柄を叩き込み、穂先で斬りつけ、その勢いで槍を反転させ柄の先端で殴打し、回転し穂先を突き込み、瞬時に引き戻し逆回転で薙ぎ払い、その勢いのまま胴回し蹴りを放ち、地に槍を突いて腕の力で飛び上がり大上段から柄で叩き伏せて着地し、同時に柄の両端で滅多打ち、途切れることの無い連撃を超速で叩き込んでいく。

空間がひび割れて砕け散るが無明は既に回り込んで渾身の三連突きを放ち、三方の大地ごと『漆黒』をえぐり飛ばしている。


(喰われた世界の隙間はすぐに周囲の空間が押し寄せてふさがる。人間の感覚だと、水中の水をコップで奪っても周りの水がそこに流れ込むだけで変化無いように見えるでしょ?その空間の流れ込みにも巻き込まれちゃダメだからね。自分の身体ごとグシャッと流れ込んじゃうぞ。だから『奴』は自分もそれに巻き込まれないようにして空間破壊を放っている。『漆黒』の蓄積量がダメージを肩代わりしてくれるとはいえ、自分の攻撃でわざわざそれを削るのはもったいないでしょ。これ重要、テストに出るよ)


はい!先生!


っていうか無明、こんなに強かったのかよ……。

おれが足元にも及ばない万眼先生のオートモード、アレはどうやら無明の動きを模倣していただけのようだ。

流れるような超連撃、回避、即攻撃。

カスるだけで即死しかねない攻撃を挑みかかるようにかいくぐり、無理にでも機を作って渾身の一撃をぶち込んでいく。

紛うことなき槍の名手。

神業の遣い手。

無明はどのようにして、これほどの技を身に付けたのだろう。


万眼先生、神域で無明の魂を保護してた、って言ってたけど、その間に何をしてたんだ?


(なぁっ!?)

「なにっ!!?」


あれなにこの反応?

無明の動きがものっすごい乱れた。

瞬時に立て直したのは流石だと思うけど……。


(なっ、ななななっなにも何もだけど!?なにも何が!文句ある!!?あ、あた、あたしと無明がななな、ナニだって言うのよ!?何もあたしと無明は何もナイし!!!!)

「そっ!そう!そうだな!確かに俺は万眼を愛しているがやましいことは!しっ、していないぞっ!?」

(ちょっ!!?バカ無明!!!!もう!こんなときにナニ言い出すのよ!!?)


いやあの、おれはなんで無明がこんな強いのか気になって、てっきり神域とやらで修行とかできたのかな、と。



(あっ………。)

「あっ………。」




おい、おまえらナニしてたんだよ……。



「だ、代行者殿、誤解が無いように言っておくが…」

(え、なに?何を言うのよ?)

「大丈夫、問題は無い、任せておけ。つまりだな、万眼は、この岩の槍でもあるんだが、神域の中では本来の、その、美しすぎる女神の姿なのだ。だから俺はそっちの姿とアレなわけでこの岩の槍をどうこうというわけでは決して……」

(バカ無明ーーー!!!!)

「えっ?いや、だから、えっ??」



無明さん、アンタ取り乱しすぎやでぇ……。




ねぇ、もういいからさ、ふたりともちゃんと集中してね?



(はい………。)

「はい………。」






この世界、バローグの運命を決する戦いは、継続中である。



2016/01/25

ネット小説大賞のキーワードを設定してしまいました。

やってみてしまいました。


2016/01/26

サブタイトル変更

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