その2 イクミちゃんと迷いの森で
その2 イクミちゃんと迷いの森で
人の姿に背中から翼の生えた、人鳥になったヒトミは、空を飛んでウサギのメグちゃんを探してまわりました。
そして、とうとうみつけることができました。
とkろが、大変なことになりました。
そうです。
なんと、地面にお・り・ら・れ・な・いのです。
なんとなく、飛び立ち方はできましたが、着地の方法は全然わからないのです。
しょうがないので、しばらく飛んでいましたが、またうさぎのメグちゃんを見失ってしまうと困るので、ヒトミは強引に着地することに決めました。
でも、飛び立つ時ほどにはうまくできず、墜落してしまいました。
ヒトミが墜落したところは、森の中だったのでやわらかい木の葉の上に落ちて、少しもけがはしませんでした。
「戻れ!」
と、前にトリさんに教えてもらったように叫ぶとちゃんと元に戻りました。
「これからどうしよう」
と、ヒトミが言っていると、向こうの方に人影が見えました。
その人影は、なんとヒトミの学校のお友達のイクミちゃんだったのです。
イクミちゃんは、ヒトミに手を振りながらゆっくりと、歩いてきました。
イクミちゃんはここが、『迷いの森』という所だと教えてくれました。
何でわかったのかと、ヒトミがきくと、立札があったの、と教えてくれました。
イクミちゃんは、数日前からこの迷いの森で迷子になっていたので、ヒトミと会ったことをとても喜びました。
とりあえず二人は一緒に出口を探して、歩き回ることにしました。
出口は見つかるのでしょうか?
歩きながら二人はいろいろとお話をしました。
「ねぇ。どうしてイクミちゃんは、迷いの森に入ってしまったの?」
「ああ。じつはね」
イクミちゃんはヒトミに、持っていたおかしをあげてから、のんびりと話し始めました。
その話はこんな話でした。
とある王国に、数年前からとてもわがままな女王サマがいて、その国の国民がたいそう苦しめられている
といううわさがイクミのいた所で流れていたので、イクミは、
ゆるせん!
と思い、うわさの国をめざして出てきたと言うのです。
ところが、いつのまにかこの迷いの森へ迷い込んでしまい、こうしてヒトミと出会った。
……というわけだったのです。
この話を聞いてヒトミは、とても感心して言いました。
「イクミちゃんは偉いねぇ!」
「いやぁー。それほどでもー」
イクミちゃんはちょっと照れて、赤くなりました。
……しばらく二人で歩いていきましたが、いつまでたっても出口は見つかりません。
とうとう二人は、疲れて座り込んでしましました。
「さっきの不思議な実、もう一個持ってくるんだったなぁ」
と、ヒトミはため息をつきました。
そうして休んでいると、向こうに人影が見えました。
「ねーねーイクミちゃん」
と、人影を見つけたヒトミが言いました。
「何?ヒトミ。『ちゃん』つけないでよ。気持ち悪い!」
イクミは、そういってヒトミを振り返ってから、
「あ! 誰かこっちにくるよっ!」
といいました。
その人影は、ワダさんでした。
ワダさんは、メグちゃんのお友達なのです。
ワダさんは、例のさわやかな笑顔でヒトミたちの所へ来ました。
ワダさんには、従者らしい人がついていて、こう言いました。
「この方は、有名な賢者サマであーる。
そなた達には、重大な使命があーると、この方はおっしゃられているのであーる。
さぁっ! うわさの国へ行くのであーる!」
「だーかぁらー」
と、イクミちゃんは、疲れた声で言いました。
「迷いの森から出られないのっ」
すると従者は、突然ゲラゲラ笑いだして言いました。
「君達ィ~西へ進んでみたかい?」
「いいえ」
と、ヒトミは答えました。
「じゃあ、だまされたと思って、試しに西へ進んでごらんよ」
従者は、まだおかしそうに笑いを、こらえているようでしたが、二人にはさっぱりわけがわかりません。
「では、私達は失礼するよ」
と、従者は尊大な風をよそおいつつ、笑いをこらえながら、行ってしまいました。
二人は、太陽が沈む方へと、一気に走っていきました。
ところが、十歩もいかないうちに、いきなり森の外へ出てしましました。
きっと森の外へ行こうとして、外と平行に歩いてしまったんですね!。
二人は、しばらく笑いが止まりませんでした。
あんまり笑いすぎて、おなかが痛くなったほどです。
笑いがおさまって、しばらくは休憩することにしました。
それから二人は、遅いお昼ご飯を食べて、再び歩き出しました。
あっ!そうそう。
あの森の出口を教えてくれた従者は、後であんまり笑いすぎたので、おなかとのどと口が変になり、約1ヶ月間の入院をしたんだそうですよ。
とにもかくにも、二人は一路、うわさの国へと向かったのです。
うわさの国のうわさの女王サマのお城は、もう、すぐそこにそびえたっています。
大丈夫かなぁ
とヒトミは思いつつ歩いていきました。
ところで、最初の目的はどうしたの?(笑)