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その1  『アリス』みたいな冒険の始まり~

その1  『アリス』みたいな冒険の始まり~


ある日、ヒトミは天気がいいので、外へ本を持って出かけました。

後から、弟のサトシがヒトミの後をついてきました。

 ヒトミは森の中に入っていくと、一番お気に入りの大きな木のところに座って本を読み始めました。

サトシは、その横でなにかごそごそやり始めました。

 しばらくして、なにか目の前を横切っていくのに気がついて、ヒトミが顔をあげると、それはうさぎさんの耳をはやしたメグちゃんでした。

メグちゃんは、ヒトミの学校のお友達な子なのです。

メグちゃんが

「いそがC―いそがC―…(じゃなかった)

いそがしー、いそがしー」

といいながら、木のうろの中に入っていったので、ヒトミもあとから入っていきました。

中に入ると、突然足が滑ってななめ下に向かって、まるですべり台のようにずーっと、ずーっと滑っていきました。

 ふいに長いすべり台がきれて、2メートルほど落ちたので驚いて小さく悲鳴を上げてしまいました。

でも、落ちたところは、やわらかい落ち葉がたくさんあったので、少しも痛くなくてすぐに動けました。

どうやら誰かさんのおうちのようです。

そこには、りっぱな家具が置いてありましたもの。

 さて、ヒトミは、ウサギのメグちゃんを探しに、おうちを出ていきました。

外へ出るとそのおうちは洞窟に作られていたのでした。

周りを見渡すと、少し遠くにメグちゃんが見えたので、いそいで追いかけました。

しかし、うさぎのメグちゃんは、とても足が速かったのでとうとう見失ってしまいました。

ヒトミは疲れたので、側の木によりかかってひと休みすることにしました。

「あ~つかれたぁ~」

と、言いながら木の根元に座って、休んでいると、どこからか目のうつろなくまたんがやってきて、変にまのびした声で言いました。

「どーうーしーてー、そーんーなーにーつーかーれーたーのぉー?」

するとヒトミは、疲れていたので面倒くさそうに

「うさぎさんを追いかけていたからよ」

と、答えました。

すると、目のうつろなくまたんは、うつろな目をくるくるさせてこう言ったのです。

「うーさーぎーさーんーってー、足―のー速―いーあーのーひーとーのーこーとーだーよーねぇー」

うさぎだから足が速いのは、当たり前よぉ!

と、思ったけれども、

「そうよ。足が速い人なのよ」

と言ってから

(うさぎさんって、人なのかしら?

 でも、あのうさぎさんはメグちゃんだから、人なのかなぁ?)

と、思いました。

「どーしーてーもー、追―いーかーけーなーくっちゃーいーけーなーいーのーかーい?」

と、目のうつろなくまたんが変にまのびした調子できいてくるので、

ちょっと「イラッ」として

「そうよ! だって知ってる人なんだもん」

と、ヒトミは大声で言ってしまいました。

 目のうつろなくまたんは、うつろな目をしばらくさまよわせていました。

が、突然何か思い出したのか、ポンと、手をたたき…

しかし、毛深い手のためにパフッという、まぬけな音しかしなかったので、しばらくうつろな目で自分の手を見つめていました。

動かなくなった目のうつろなくまたんにヒトミがそぉっと触ってみると、目のうつろなくまたんは、ドサッと倒れてしまいました。

――もしや、コッコロシか?!――

 でも、だしぬけに聞こえたイビキのおかげで、その想像は中断されました。

目のうつろなくまたんは、なぜか深―い眠りに入ったのでした。

困ったのは、ヒトミです。

目のうつろなくまたんは、ひらめいたことを言わずに、深―い眠りに入ってしまったのですから。

「この目のうつろなくまたんどうしましょう」

と、言っていたらトリさんが飛んできて、ヒトミが休んでいる木にとまって、こうさえずりました。

「こんにちは、おじょうさん。

いったいどうしてそんな姿をしているの。

そこの変わり者のくまたんならわかるけどねぇ!」

これを聞いてヒトミは

「じゃあ、こんな姿でなくてどんな姿ならいいの?」

と、きいてみました。

すると、トリさんは

「なーんだヨソ者か」

と一言つぶやくと

「ここの街はネェ、人の姿ではなく、便利で空を飛べるモノになって生活するんだよ」

と、トリさんは得意そうに教えてくれました。

これを聞くとヒトミは、

ああそうか!

と、思いました。

さっき目のうつろなくまたんが思いついたのは、おそらくこのことだったのです。

ヒトミはあることを思いつきました。

――もしかしたら、何とかうまくいくかも知れない――

「じゃあ、何かに変身するには、どうすればいいの?」

と、きくと


「簡単よ。この木の実を一口だけかじるの。

元に戻るときは、

『戻れ!』

って、大声で叫べばいいの。

簡単でしょ?」

トリさんは普通に言ったからか、もとには戻りませんでした。

「それじゃ、用があるのでこれで失礼するわ!」

そういって、飛び立つトリさん。

『あ、そうだったもう一つ。

その実をかじる時、なりたいものをイメージしてかじってね。

じゃ、バイバイ!」

くるくる旋回するとトリさんは、行ってしまいました。

くまたんは起きなかったので、ほっとく事にしました。


 ヒトミは、とってもおいしそうな…サクランボによく似ている真っ赤な木の実を一つとって、思い切ってある姿を思い浮かべながら食べました。

すると、ヒトミが思い浮かべていた通りの、

ヒトミ本人の姿に鳥の翼をつけた姿になったのです。

でも大きさは、小鳥くらいです。

「うさぎさんのメグちゃんを探さなきゃ!」

と、ヒトミは飛び立ちました。


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