フラレヒーロー
なんでだ。皆そんなに生徒会が嫌いなのか。この学校は生徒会主体の自由な校風が売りだろう。だったら自分たちも生徒会に入って盛り上げようってことは考えないのか。
「松、決まった?」
問うのは新生徒会経理の史。捜しているのは副会長をやってくれる人材だ。
「人望ないんじゃないか、あんた」
「なら史の人望を持って、誰か据えてくれよ」
言い返せば肩を竦めて、あっかんべ。でもその茶目っ気のある表情はすぐに曇る。
「ま、あたしも色々当たってみたんだが部活の部長兼ねてたりすると駄目だからな。勇希には断られてしまったし、神城や中野は生徒会に入るガラじゃないからね」
新生徒会が来週から発足するのだがメンバーが一人足りない。生徒会長の僕、書記に高本慧と間宮明子。経理には史が。各委員長枠はすでに埋まっている。けれど副会長がまだ決まっていないのだ。生徒投票で決めるのは会長だけで副会長は誰でもいい決まりだ。すぐに決まるだろうとの予測は悉く僕を裏切った。
「なんだ。まだ悩んでるのか」
「お前が来てくれれば文句はなかったんだけどな」
声の主に溜息を吐く。けれど相手はやらない、と無下に言い放つ。
「神城、誰か紹介してくれないか」
史が手詰まりだと助力を求めた。もう何人に当たって砕けたのか、数えるのもやめた。
「そうだなあ。……松屋崎の生徒会を喜んでやってくれそうなやつか」
口の端に指を当てて、神城は思案し始めた。彼にも初めオファーしたのだが、自分は表立って動くようなのは好きじゃないと断られてしまった。どっちみち部の主将になってしまったので誘っても入れられなくなってしまったけれど、彼の持つ情報収集とその処理能力は惜しい。史や高本にも色々当たってもらったがそれなりに能力のある者は既に他の椅子に収まってしまっているのだ。
「……藤田、なんてどうだ」
不意に神城が口を開く。
「ほら、四組の藤田悠子。おとなしいから人前に出る仕事は難しいかも知れないが、それは史とかお前がやればいいだろう。バックアップに関しては丁寧で迅速な仕事をしてくれると思うぞ」
「そっか、藤田がいたね」
よく思い出したと史が喜色を浮かべるが、僕は首を傾けた。
「覚えてないのも無理ない。文化祭で僕の裏方を一手に引き受けてくれたのが彼女だったんだよ。表の仕事はすべて僕が受け持ったからな。藤田は、やってくれると思うよ」
確信犯的な笑みを顔に浮かべられる。
「ああ……そうね」
何故、史までもが同意するかはわからないが、二人が僕に是非と彼女を推した。今度こそ振られずに色よい返事が欲しいところ。僕はその足で早速藤田のところに赴いた。もう断られるのは散々だ。いい加減にして欲しい。
もし明日僕が笑ってたら、振られなかったと思ってくれ。
南天台高校二年八組 松屋崎京一




