4/10 家から学校
おんどりゃー眠たいんだぜ
今日から中学生だ。
そんな気分で真新しい制服に袖を通した俺は、同じく真新しい学生鞄の中身を確認した。
「...よし。」
3歳くらいの頃に頭を打ってから記憶力の弱くなった俺は忘れ物をよくするのだ。なのでこういう大切な日には忘れ物をしたくないので、なるべく注意を払いながら荷物のチェックをしている。普通の授業日とかは特に何もしない、めんどくさいから。それが俺クオリティ。素晴らしいな。
「たしか、登校初日から一週間はチャリ通ダメなんだっけか。」
俺が今日から中高6年間を過ごすことになる学校は、良くも悪くも古いのである。今どき学校に携帯を持ってきてはいけない、というのはかなり珍しいのではないだろうか?
中学生になる、小学生だった頃より少しステップアップして、大人になる。そんな、ちょっと高揚した気分でいた俺にとってその規則は少しばかりがっかりするものだった。
7時00分
「もうそろそろ出ようかな。おかーん、もう出れるでー!」
「はいはい、早うしいよー。」
これから俺の明るい少しばかり大人ない学生ライフが幕を開けるんだ!
とまあこんな風に意気込んでも空から女の子は降ってこないし道の曲がり角で可愛い女の子とぶつかってこけることもないのだ。
「現実には夢がないねぃー。」
車で送ってもらった俺にそんなことが起こっても困るだけなのだが、現実の夢の無さに少し声を漏らしてしまう。俺は現実に負けたわけじゃないんだ。
「俺は現実を叩きのめしてやるんだっ.....」
現実ほど奇妙なものはないのだから、それを叩き潰すのは一方的に悪と断罪されるものでもなかろうて。
そんな厨二臭い恥ずかしいセリフを吐きながら、これから通う私立中学の校門俺はをするーっとスルーするのだった.....。ごめんすべった。
その後入学式が始まって、つつがなく終了。特に問題もなく登校初日を終えたのだった。
しかしこの時の俺は気づいていなかったのだ、気づいてなくて当然だ、俺は未来予知ができる人間ではなかったのだから。
趣味だから気にしないで欲しいんだぜ