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冷たい雨  作者:
3/4

見たくないもの


私とリョウとルーが住むことになったアパートにはとても大きな窓がついていた。


その窓からは町並みが全部見渡せた。

小さな町だから、もちろん窓からは私が通っていた学校も見える。


「瑠維、なに見てるの?」

窓の外を眺める私にルーは言った。

「いちばん、見たくないものかな」


「見たくないものなのに見てるの?」


「そう。私がいなくなっても学校は何も変わらない。ただ暇つぶしが皆出来なくなったことくらいだろうね。」


「学校は楽しいところじゃないの?」


そうか、ルーはまだ何も知らないんだ。

人間の醜さも。友情の儚さも。

でも、何も知らないまま成長していくこともできるんだ。私をいじめた人達みたいに。



そのとき、リョウがマグカップを三つテーブルに置いて「ココアができたよ」と私達を呼んだ。



ココアを飲んだあとルーは目をこすりながら布団に潜り込み、いつしかスヤスヤと眠った


「お母さん心配してない?」

リョウは少しも笑ってはいない。

「大丈夫だよ。もう18だよ?」


「まあな。」


それからリョウは一言も喋らず、私の頭を撫でて布団に入った。



頭を撫でられるなんて初めてだ。

リョウとルー。そして私。


こんな最高な居場所、ほかにはないと思った

そういや、最近雨も降らない。

雨で隠す涙もなくなったから、それはそれで良かった。




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