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ヘタレ勇者の謝罪伝  作者: 木本京一
第一章 産まれて来てゴメンナサイ
4/5

第4話

皆さん読んで頂き大変ありがとう御座います。

おかげさまで第4話投稿です。

誤字脱字、文章の矛盾とか・・・あるかも・・・。

ご意見・ご感想等頂けると作者は死ぬ程喜びます。


尚、この作品はフィクションです。


※今回、グロ表現及び汚物の表現が御座います。

なるべく抑えた表現にし、R-15としては軽めに仕上げているつもりです。

耐性のボーダーが低い方でも大丈夫ではないかと思っています。

が、ダメだったら教えて下さい。ダメって言う声が多ければ今後表現の変更や参考にします。

ドドドドドドドド・・・・・・!!


お昼前。

平日の温泉街の静かなひとときをぶち壊す爆音と共に、砂煙を上げたフォレストラビットの群れ(その数およそ100羽)が、何かに追われ必死で森の中から街をぐるりと取り囲んでいる高さ20Mは有る街壁へ向かい、真っ直ぐに()()んで来ていた。


フォレストラビットは大きい物だと最大2M。

ジャンプ力は5Mは飛び上がる事が出来る。

その怒涛の茶色い生物の一群が向かってくる先。

街壁の前には金髪で色白な小さい男の子がポツンと立っていた。


「おーい!ユート~、そっち行ったぞ~後は任せたからなぁ~!」


「ユーちゃん頑張ってねぇ~」


「あぉーん!」


声がしたのはフォレストラビット達の後方。

茶髪に栗色の瞳で健康そうな小麦色に焼けた肌の少年と、オレンジ色の腰まで有る巻き髪で同じ色の瞳のスラッとしたツリ目の少女。

その手に一人は槍、一人はレイピアを持ち、1匹の黒い大きな犬(?)に相乗りに乗って視界に現れた。

先程の声は、男女の子供達と1匹それぞれから発せられたものだ。


恐らく、フォレストラビットの集団は彼らに森から追い立てられたのであろう。

それはもう必死で、目は恐怖の色をして、ただただ追い立てられるがままに疾走していたのであった。


声を掛けられた側の壁際の少年は、


「えっ?えっ?」


と、涙目でうろたえていた。


(―――ここに居ろっていわれてただけなのに)


口には出していないが、明らかに嫌そうな顔のユートと呼ばれた少年は、


(―――ああ、近付いてくる)


うろたえながらも、背中に背負っていた両手剣を構えて眼前に迫る砂煙の一団に対峙した。


(―――やらなきゃダメなのかなぁ~)


そしてフォレストラビットの一団の先頭が街壁に到達し、この小さな少年の目と鼻の先まで迫った後。


ドガーン!

ボガン!

バキッ!

ドゴーン!

ズシャ!

ズドーン!

ベチャ!


暫く辺りは擬音のオンパレードが続いた。


ギャン!


と、最後のフォレストラビットが断末魔の声を上げ絶命した。


そしてその後、


「あーあ、ユートお前何やってんだよ~」


「あらあら・・・これは・・・」


「くぅ~ん・・・」


フォレストラビットを追い立てていた彼らがやっと街壁に近付く。


「だってぇ~・・・ミゲル~・・・」


金髪の少年はその大きくて(あお)い瞳を節目がちに小さな声で呟く。


「いや、だってじゃねーだろ~ユート。これじゃ意味ないじゃん」


馬並みに大きな体躯の黒犬(?)から降りて金髪の少年より少し大きいであろうミゲルと言われた男の子が周りを見ながら言う。


「折角、黒姫(くろひめ)がこいつら脅して集めたってのに、これじゃぁなぁ~・・・」


黒姫と呼んだ黒犬(?)の頭を撫でながら天を仰ぐ。


グルルルルルル・・・


撫でられた黒姫は喉を鳴らし気持ち良さそうにされるままにしている。


「まぁ~仕方ないですわよミゲル。ユーちゃんも一所懸命頑張ったんですもの」


黒姫の背中で優しい微笑で少女が金髪の少年を労う。


「姉さま、ぼ、ぼく・・・」


金髪の少年はその少女を姉と呼ぶ。

そして彼は目に涙を浮かべて今にも泣きそうであった。

涙腺決壊5秒前。


「あーあー、もうわかったよ!わかった。もういいから!泣くなユート!たっ、頼むから泣かないでくれ・・・。今泣かれると・・・お、俺がアネモネに殺されるから!」


ミゲルは、そう言いながら蒼い顔で金髪の少年と、その姉アネモネの顔を交互に見て慌てる。


「ぐ、ぐっす・・・ミゲル・・・怒ってない?」


「うんうん、怒ってない!怒ってないぞ~ユートニス君!俺は怒ってるんじゃない。」


「ほ、本当に?」


「ああ、本当!本当!マジで!本気と書いて『マジ』って感じで怒ってない」


金髪の少年とミゲルがそんなやり取りをしている中、アネモネは・・・


「ユーちゃんを泣かせた・・・」


背中からドス黒いオーラを放ちその目を殺意に染めて脅えるミゲルを視線で射抜く。

アネモネをその背に乗せていた黒姫は、その殺気に毛を逆立てる。


「わー!タンマ!タンマ!アネモネ落ち着け!まだユートは泣いてねぇ~!ユート!アネモネを止めろ!このままだと俺が死ぬ!本当に死ぬ!いや、絶対死ぬ!頼むユートいや、ユートニス君!君のお姉ちゃんに泣いてないって言ってくれ!!俺はまだ死にたくない!」


両手を頭の上で合わせ必死で頼み込むミゲル。

彼の額や背中からは冷ややかな汗が滝の様に流れていた。


「う、うん・・・ミゲルが怒ってないんならいいんだぼく・・・」


ユートはそう言うと、


「姉さま、ぼく泣いてないよ!」


キュッ!っと口元を引き締め涙を堪えて金髪の少年は彼の姉のアネモネに言う。


その姿を見たアネモネは・・・黒いオーラを仕舞い、今度はピンク色のオーラを纏い、


「ユ、ユーちゃん・・・」


(くぅ~、ユーちゃんかわいい!!)


と、まるで先程とは別人になったかの様に、母の遺伝で最近大きく成り始め、周囲の大人の男性から『ロリ巨乳!万歳!』と叫ばれたり、豊かでは無い胸の女性からは『滅びよ!』と呪いの言葉を投げ掛けられる様なツンと形良く張った胸を自分の腕に抱きしめる様な格好で、デレ~と顔を歪ませる。


(生きてるって素晴らしい!)


ミゲルは、ほっと自分の胸を撫で下ろす。


「本当?ユーちゃん泣いてないの?ミゲルにこの世の終わりを見せてあげなくてもいいの?」


優しく語り掛けるアネモネ。後半の台詞にミゲルが再度震えている。


「うん!ぼく泣かないもん!だって、ぼく『勇者』だもん!」


泣くのを堪えた為少し赤くなった目とちょっぴり漏れた涙に気付かず、精一杯虚勢を張って見せる。


アネモネは黒姫の背中で、その整った顔の中心に有る形の良い鼻から真っ赤な血の薔薇を撒き散らしながら萌え死んだ。


勇者ユートニス5歳。

茶髪の少年ミゲル8歳。

勇者の姉アネモネ10歳。


これは世界最古の人工温泉街イーズの新たな名物、『勇者(・・)』の物語である。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




鎧を着た男達が2頭の馬にそれぞれ乗り現場に着いた時、彼らの目の前には信じられない光景が広がっていた。


「た、隊長・・・」


「な、なんだこれは?」


街の住民からの苦情により、現場に一番近い街壁の北門から駆け付けて来たのだが、来る最中馬上から見えていたのは灰色の街壁と茶色い土煙と、近付くにつれ段々と大きく広がって見える赤い色。


現場には、その大きく広がった赤い色の中心に金髪の幼児が大きな両手剣を片手に持って立ち、赤い色が切れた平地には、大きな黒犬(?)に乗ったオレンジ色の髪にレイピアを持った少女と、黒犬の頭の右側立ち、右手に槍を持った茶髪の少年が居た。


「げっ、た、た、隊長!こ、これ、血だ!」


そう言うと鎧の男の1人が叫ぶ。

その声に隊長と呼ばれたもう1人の鎧の男は『はっ!』と周囲の状況に意識を戻す。


金髪の幼児の周囲一面は・・・


四方に飛び散った真っ赤な血液。

血の池の中のまだピクピクと動いている何かの心臓の様な物。

大人の拳大の肉片の数々。

半分に綺麗に切断された頭蓋からはみ出る脳。

千切れた臓器の破片。

血溜まりに浮かぶ無数の眼球。

砕けたどこの部分か解らない肉がついた骨の欠片。

100個はあるだろう小さく仄かに光る翠《みどり》の魔晶石。


(どれだけの魔物が死んだらこんな事になるんだ・・・)


鎧の隊長は息を呑む。


その横で、部下であろう鎧の男は、馬から降り走って元来た方角に向かい暫くして、


グボロロロ・・・


と、血と臓物の匂いに嘔吐していた。


「しっかりしろ!サンガ。仮にも警備隊の隊員がそんな様でどうする!」


激を飛ばす隊長だったが、彼も多少この場の状況に胃液が上がってくる感覚があったが、そこは経験で自分を抑えた。


「うっ!やっべー・・・ガロンが来ちまった。」


茶髪の少年ミゲルが頭を抱える。

その声を聞きガロンと呼ばれた鎧の隊長はミゲルの方へ向く。


「こら!また貴様の仕業かミゲル!ちょっとこっちに来い」


「ええ、やだよー」


「いいから、こっちに来てこの有様を説明しろ!」


「ちぇ!ついてねぇ~なぁ~・・・」


そんなやり取りをして、ミゲルがアネモネを乗せたままの黒姫と一緒に、鎧の隊長ガロンに近付く。


「それと、若様!貴方もぼーっとしてないで、早くそこからこっちに来て下さい」


「あ、あ・・・ゴ、ゴメンナサイ・・・ガロン」


オロオロとしながらいきなり謝り答える、赤い血と肉と臓物の海の中心に立つ、この光景に一番似つかわしくない金髪の少年(ガロン曰く幼児)ユートニス。


「あと、アネモネ様・・・貴女も自分は関係無いみたいな顔してますが、ちゃんとお話を聞かせて頂きますよ!」


「ふーんだ!」


黒姫に乗ったままプイっと横を向くアネモネ。


そんな3人の子供を見て隊長ガロンは、


「いいんですかねぇ?貴方達そんな態度取ってて・・・。いや、いいんですよ、それでも・・・。」


と、ゆっくりと落ち着いた声で言う。


「え、な、なんだよ・・・ガロン」


「何よ!ガロンの癖に私達に命令するの?」


「いえいえ、別に命令なんてとんでもないですよ。ただ、貴方達には素直に答えてもらった方がお互いに手間が省けるって物ですし。ただ・・・その答えによっちゃ、私も奥様とガブリエラさんと団長に報告しなきゃいけなくなりますが・・・」


「か、母様・・・」


「うっ!・・・ガブリエラさんに・・・」


「げげげ、爺ぃ~さんにかよ・・・」


3人の子供は、それぞれに暗くなったり、目が死んだ魚の様になったり、蒼くなったりした。


それを様子を見てガロンは少し表情を崩し、


「ははは。よっぽど貴方達はあのお三方に弱いと見える。が・・・とりあえず、報告するかどうかは貴方達の話を聞いてからにしておく。ので、ちゃんと1から話してくれるかな?」


と、優しく言った。


それを聞いた3人は、ほっとした表情でお互いの顔を見て頷く。


「いや、実はさぁ~・・・」


ミゲルが事の説明を始めた。


暫く、『だからさぁ~』とか、『でねぇ~』とか、『だろう~?』だとか言ってミゲルの説明が続き、その都度ガロンは『ふむふむ』、『それで』とか相槌を打って話を聞いていた。


その間、ガロンの部下のサンガは、ずっと生気の無い蒼い顔に何度か嘔吐を繰り返した為カサカサに乾いた唇をして、馬に寄り掛かり黙って地面に向かって顔を伏せていた。


アネモネは、途中『そこは違うでしょ!』とか、『そうそう』とか横から話に突っ込みを入れていた。


ユートニスは疲れたのか・・・










立ったまま寝ていた。

今回の話、続きます。

やっと主人公が本当の意味で出て来ました。

受精卵→胎児→いきなり幼児です。

あ、ちゃんと3話までの話のオチは付けますので・・・きっと。


1話1おっぱいは継続中!


では、次回お楽しみに。

※ルビ修正(2013/03/30)

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