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ヘタレ勇者の謝罪伝  作者: 木本京一
第一章 産まれて来てゴメンナサイ
2/5

第2話

1話/月位でゆっくり書いていこうと思って居たのですが、なんか書き始めたらとまらなく成って、気づいたら2日連続の投稿と成ってしまいました。

次話以降の投稿に関しては活動報告に書いて行きます。


つたない文章の作品ですが、皆様生暖かい目で末永くお付き合いの程宜しくお願い致します。


あ、勿論、この作品はフィクションです。

部屋の前ではオレンジ色の肩までの巻き髪がふわっと膨らんだ小さな少女がワクワクと期待にその髪の毛と同じ色で大きいがちょっとツリ気味の目を輝かせ、ある瞬間が来るのを扉の横に置かれた大人用の大きな長椅子の上でちょこんと座って足をブラブラさせながら待っていた。


少女の隣には青いストレートな長髪に前髪を眉の下で真っ直ぐに切り揃え、大きな胸を強調したゴシックスタイルのメイド服の美女が立っている。


「ねーねぇー、パパ~まだかなぁ?」


普段ならこの時間は暖かいベッドの上で夢の世界をの住人に成っているだろう少女は、少し眠い目を擦りながら、先程から扉の前を居場所無さげにウロウロと上を向いたり何かをぶつぶつと呟いたり、急に立ち止まっては難しい顔をしたり、兎に角落ち着きが無い2メートルは有ろうかと言う大きな筋肉隆々のこの屋敷の主で少女の父親である男に声を掛ける。


「あ、ああ、アネモネ。そうだの・・・もうそろそろでは無いかの」


父親は声を掛けてきた自分の娘アネモネに優しく答える。


「産婆の話だと、もういつ産まれてもおかしくないとの事なのだがの」


そして、そう言うと、彼はまたぞろそわそわしながら先程と同じ様に、こういう時の男ならば誰もがそうであろう様子でうろつき始める。


「そっかぁ~。早く出て来ないかなぁ~私の弟」


そう言うと、少女は手に持った兵隊の形をしたこの街名産の人形こけしに目をやる。


「私、弟といっぱい遊んであげるの」


きらきらした目と満面の笑顔で優しく微笑む少女に


「それがよろしゅう御座います。お嬢様」


美人メイドが微笑んで語りかける。


街中の騒ぎを知ってか知らずか、この屋敷は今、新たな家族の一員を暖かく迎え入れようとしている所だった。


アネモネが産まれて来る赤ん坊が何故自分の弟なのかと疑いを持た無いのかには理由があった。


このラース世界は、剣と魔法、その他妖かしの技や、錬金術。そう言ったファンタジーの世界。

当然超音波エコーやレントゲン、MRIも無ければ産婦人科病院等と言った物は無い。


精々が街の路地裏の年老いた占い魔女の当たらない占いや、教会への祈祷等で男女どちらかを望む様な神頼み程度だ。


完全な産み分けは出来ない。


勿論、民間療法的に、

『このアルカナの樹の根を煎じて飲むと女の子が産まれ易い』

だとか、

『土蛇の干物をスープにして、それを飲むと男の子が生まれ易い』

といった、迷信の域を出ない怪しい物は存在するが

それらは100%の確率で明確な産み分けに繋がらない。


だが・・・この屋敷に今居る人達や、この街に集まって来た様々な者達は、今夜産まれて来る命が、確実に男児である事に、何の疑いも持って居ない。


それは何故か・・・。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




戻って、十月十日前。


女神の突然の降臨。


確かにこの世界は女神カミーラが造ったと言われ、あまねく人々はその存在に感謝を捧げ、世界各地の神殿には、今目の前に居る人物(神物?)と同じ姿の石像(しかし、服は着ていた)が存在した。

そして、この女神カミーラは時々地上に降臨する事で有名だ。


その現れ方の眩しいばかりの神々しさは兎も角、行動や言動、そして何よりもその姿はもう不審者と言っても過言で無い。

紐水着で胸にビーチボールを二つ抱えた様な巨大な乳房をブルンブルンと揺らす露出狂女神は、後ろの女を庇う様にこちらは全裸で闘気を身に纏い拳を向け自分の言葉に唖然としている男と、ベッドの上でシーツを手繰り寄せ、これもまた女神程とは言えないが大きな二つの胸を隠した女の前で、


「えーっと、ここって確か武道家のパパスさんのお宅・・・よね?」


と、こう聞いた。


有る意味混沌(カオス)な光景である。


「あ、あ、ああ。確かに・・・我はパパスだが・・・」


困惑した表情でそれでもまだ解かぬ緊張したパパスと名乗った男の答えに、


「良かった!やっぱここで間違いじゃ無かったのねぇ~。

もう私今ちょっと場所間違っちゃったかと思って心配しちゃったわぁ~」


間の抜けた調子で言う女神。


パパスは一抹の不信感は持ちつつも一応害悪の意思は無いだろうと話を聞く気持ちに成っていた。


「・・・で、その・・・女神様・・・うーん、カミーラ様が・・・こんな夜更けに我の家に何用で降臨なされたのか?」


当然の質問である。


それを聞いてか聞かずか


「もうウチの天使長ったら、やれ時間がどうだとか、玄関からどうとか、もう煩いったら・・・あ、天使長ってのは、この後ろに居る青い羽したガブリエラって言うんだけど、この人凄い真面目でさぁ~、ちょっとした冗談とか全然通じないのよね。

で、貴方もやっぱりそう言う事気にするくち?

でも、私思うのよねぇ~・・・こう、何て言ったかしら・・・

そ、そう!インパクト!そう、インパクトよ!!

何事でもインパクトって大切じゃない?

特にこう、大事な事をこれから話さないといけないって時とか、初対面の相手に内容を印章付けたい時には、インパクトって大事だと思うのよねぇ~

それに、昼間に来ても面白く無いしぃ~・・・光ってても昼間だとねぇ~目立たないし。

でねぇ~、玄関からさぁ~『今晩は~夜分遅くにゴメンナサイね~、私女神なんだけど、ちょっと用事が有るから訪ねて来ちゃったぁ~(てへぺろ!)』じゃ流石に威厳も何も無いじゃない?」


一気に喋り出す女神。(威厳は既に無い気がする)


「「・・・」」


「で、用って言うのは貴方だけじゃなくて、奥様・・・えっとー、ママスさんだっけ?お二人共に用があると言うか、神託を授けると言うか、女神の加護と言うか、運命って言うかぁ~・・・」


「ん?我ら夫婦に・・・」


パパスは自分の後ろに控えてこのやり取りを聞いていた自分の妻に目をやる。


「・・・まあ?」


シーツ越しにでも、女神程では無いが、大きく主張する西瓜を二つ並べた様な豊満な乳房がわかる、先程までの火照った身体から艶やかな空気を放つ妻も何の話をしているのかと夫に顔を向ける。


「ぶっちゃけぇ~、勇者誕生オメデトウ!って事で・・・」


パーーーーーーーン!


カミーラがそう言い終る間際に、どこからか青い大きなハリセンが現れ、彼女の後頭部で良い音を奏でた。


痛そうに頭を抱えるカミーラ。


「まったくこの人は・・・。

とりあえず、パパス殿、ママス様、お二人には服を着て頂き、どこか落ち着いてお話の出来る場所、そうですね広間などでゆっくりとご説明させて頂いてはと思いますが如何でしょうか?

そして、カミーラ様・・・あなた、少し黙ってて下さい・・・話がややこしくなるので」


天使長ガブリエラと紹介された天使は、この場でもっとも冷静に、そして自分の上司で絶対者である女神に、冷ややかな、そして侮蔑にも似た視線をやりつつ纏めた。


それから数刻。


館の広間では、深夜だが騒ぎで起きてきた使用人達が慌ててこの招かれざる来客への対応を右往左往と行っていた。


大きなテーブルの端に女神カミーラは座り、その左右の席に6人の天使達が3人づつ左右に分かれ座る。


先程天使長と呼ばれた青い羽のガブリエラだけは、何故かカミーラの左斜め後ろに手を前に組んで立っていた。


その手には、先程自分の主人の後頭部を殴打した大きな青いハリセンがしっかり握られていた。


「お待たせ致した。カミーラ様」


流石にあのままでは話をするにしてもあんまりなので、軽く汗を流し身支度を整えてパパス一家が広間に入って来た。


カミーラと対面になる席にパパスが座り、その隣に、やはり騒ぎで起きてしまった5歳になったばかりの娘を膝に抱えたママスが座った。


「さぁ~てと、これでみんな揃ったみたいね。

んじゃ、さくっと話をするけど。

え~っと、ママスさん、今日貴女はご懐妊されました」


「はぁ~・・・そうなんですの?」


よくわからないといった風で首を傾げるママス。

その様子を見て母を真似て同じ様に首を傾げる娘。


「で、その・・・ウチの妻の懐妊を告げる為に、わざわざ女神であるカミーラ様自らここへご降臨下さったと?」


やはりよくわからないといった風に聞くパパス。


「うん、実際そう言う事なんだけど、やっぱりこれだけじゃわかんないかぁ~?」


「先程、カミーラ様は何か『勇者』がどうとか仰っていたと我は記憶しておるのだが」


「そうそう!そうなの!勇者!そう勇者よ!」


「はて?『勇者』とは何でありましょう?」パパスが聞き返す。


「えぇ~!?・・・勇者ってのは、アレよ。

こうバーン!ってやって、ズドドーン!ってして、ブワァ~!!な・・・」


パーーーーーーーン!


また先程の様に、カミーラの話に被せて巨大ハリセンが彼女の後頭部を強打した。


「カミーラ様。それでは誰もわかりません」


冷めた目で自分を見下ろす天使長の言葉に


「痛ったぁ~い・・・グスグス・・・私神様なのに・・・なんでいっつも・・・だからガブリエラは行き遅れ・・・」


ブツブツと文句を言うカミーラ。


ゴゴゴゴゴゴ・・・・


カミーラの後ろで巨大な殺気の塊が音を立てて固まって行く。


「ああ、わかったわよ・・・ガブリエラ。

ちょっとお茶目しただけじゃない。

はいはい、ちゃんと説明しますよ!」


カミーラはぷんぷんと頬を膨らませる。


「だからね。勇者とはこれから10年後に現れる『魔王』を倒す宿命に産まれた男の子のことです!」


「「「・・・・・」」」


言葉も無いパパス達家族。


黙って聞いている7天使。


そしてその沈黙から


「えっ?」


沈黙に耐え切れず、キョロキョロと周りを見渡すカミーラ。


「えっ?」


もう一度天使達やパパス一家を見るカミーラ。


「いや、だから・・・魔王を倒す宿命の戦士が勇者って事なんだけど・・・」


カミーラが呟く。


「ねー母様?勇者って何?魔王って?」


子供の素直さで自分の母に疑問をぶつける小さな娘。


「さて?何なのかしらねぇ?・・・勇者?魔王ねぇ?」


答えに詰まる母ママス。


「うむ、何の事だか・・・」


やはり意味のわからぬ父パパス。


それも致し方無いことだ。


この世界には今まで『勇者』などと言う存在は居なかったのだから・・・。

そして、『魔王』・・・それもまた・・・


それからカミーラは『だからねぇ~、こうで、ああで、そうで・・・』と色々と説明し、その話の途中途中でガブリエラの容赦ないハリセン突っ込みと解説が続いた。


「まあいいや・・・そう言う事だから、これから産まれて来る貴方達の子供は勇者です!はい、私がそう決めました!私の最大級の祝福を授ける史上最強の戦士!

十月十日後に祝福しに来てあげるから。

あっ!後、このお話はウチの信者の教会を通して世界中に披露目とくんで宜しく!

そして、ガブリエラ!貴女はこれからは地上で、勇者ちゃんが成長して魔王を倒すのを確認する事!ああ、ただ見守るってのも面白く無いから、貴女は勇者ちゃんの専属メイドとして色々教えてあげなさい。別に貴女が煩いからちょっとお暇を出そうとかそう言う事じゃないから。以上!終了!はい解散!!」


色々と問題の有る発言をし、パンパンと両手を軽く叩いて立ち上がるカミーラ。


そして、嵐の様にやって来た露出狂女神と6人の天使は屋敷の玄関から普通に出て行った。


広間にはあまりにも突然の啓示を告げられ思考停止した夫婦、理不尽な理由で残された天使長がそれぞれ頭を抱えていた。

やっと登場人物の名前が出て来ました。

この作品はコメディです。

なので登場人物の名前も安直です。


そして・・・この女神ウザイ。



更には・・・主人公まだ?(受精卵状態では登場(?)しておりますが)


※脱字修正(2013/03/12)

※加筆修正(2013/03/12)

※ルビ修正(2013/03/30)

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