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ヘタレ勇者の謝罪伝  作者: 木本京一
第一章 産まれて来てゴメンナサイ
1/5

第1話

処女作です。しかも連載小説です。

作者のリアルが忙しいのと不定期な仕事での休みの合間の創作活動に成りますので、更新速度はかな~り遅いのでは無いかと思います。

感想、メッセージ等は大歓迎ですが、お返事は先の事情で遅くなるか簡素なものに成るかも・・・。

ゴメンナサイ

ダリウス皇帝国の南。

アークス火山の麓にある温泉観光で有名な街『イーズ』。


1000年前に異世界『日本(ニッポン)』という所から来た渡来人の賢者が、この火山の山頂に住むアークドラゴンと邂逅し友情を深め、その際この地の地下から源泉を掘る許可を得て開拓したという物語が残っている由緒正しき、この世界『ラース』最古の現存する人工温泉街である。


ただ温泉が湧き出ているだけならばそれまでにも有り、動物やモンスター、地元の猟師や年寄り達の湯治に使われてはいたが、観光や宿場として温泉それ自体をアミューズメント施設まで昇華させたと言う意味での世界最古なのだ。


賢者は、この温泉街以外にもこの世界に様々な文化を伝承し、その人間(ヒューム)としては有り得ない程永い人生を沢山の夫人、子供、孫、ひ孫、ひひ孫、弟子達に看取られ眠ったという。

(享年200歳)


賢者の所業の中でこの温泉街以外に有名な所では、道幅100メートル、全長5キロメートルにも及ぶ、帝都の『ギンザ商店街』のアーケードの施工。

雨の日にも安心のクリスタル製天板に覆われたその商店街は、おはようからおやすみまで、人々の生活の全てを賄える大商業区。

その他にも様々な現存する文化の始祖。


賢者の最後の言葉は、


「これがハーレムENDか・・・」


だったそうだ。


この物語は、その異世界の賢者の愛と冒険の日々・・・


では無い。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




初夏の爽やかな風が今が旬のこの地方独特の甘い果実『桃梨(とうり)の実』の香りを運ぶ。


いつもは両脇を地元名産の土産物屋、屋台等の物売りテントが並び、湯治の為にやって来た腰の曲がった老夫婦や家族連れ、新婚旅行でアツアツなカップル、どう見ても親子には見えない曰く有りそうな歳の差の男女、その他各種団体さん御一行で賑わう大通り。


時刻にすると、陽は西の山に隠れようとしていたが、まだ一番星が瞬くまでは至っていない夕暮れ時。


普段なら、街の人々は一日の仕事を終え夕食を楽しみに家路に急ぎ、観光客は湯冷ましに川べりの散策や、そろそろ夜の街にでも繰り出そうかとする頃。


夜の生物達は、まだ暗くジメジメと湿った静かな洞窟の寝床で大あくびをしているそんな時。


歴史的には古いが、今では平凡で普通の温泉街なのだが、今日だけはその姿が変わっていた。


「な、何だこりゃ?」


通りに面した商店、『肉のコンドウ』の5代目主人は、そろそろ店じまいを始めようと通りに出て目の前の光景に絶句した。


ガヤガヤ・・・

ガチャガチャ・・・

ザッ!ザッ!ザッ!・・・


あちらこちらから響く様々な音の波。


街はまるで帝都の新年祝賀祭がそのまま引っ越して来たかが如く、または大戦の後の凱旋パレードの如く、異様な集団が次々に外からやって来て埋め尽くそうとしていた。


細密な細工が施された屈強な甲冑に自慢の宝剣を帯刀した騎士達。

これでもかと言うほどの宝石で綺麗に着飾った周辺各国の領主達。

馬車に乗る極楽鳥の集団かと見紛う程のカラフルな貴族達。

様々な色に光り輝き、大小様々な大きさで輝きそこらかしこを飛び回る妖精達。

真っ白なローブで身を包み、荘厳な雰囲気を纏ったカミーラ神殿の神官達。

黒く怪しいフードに顔を隠した魔法使い達。


そんなおよそこの温泉街に似つかわしくない大集団が何の目的も無しに集まる訳は無く、


『『これから何かが起こる・・・』』


ここに居る全ての人々がそれだけはハッキリと確信していた。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




きっかけは、丁度十月十日(とつきとうか)前。


そこはイーズの街を一望する丘陵の高台にある一軒家。


家と言えども、一般的な街人が住む小さな家では無く、周囲を人の背丈の倍も有る石積みの垣で囲われ、門には家紋の彫刻がされた鉄の柵が填まり、庭には樹齢100年は経ているだろう大きな楠の大樹と、その大きな樹にも負けない位の大きな石造りの建屋、それに従うように馬小屋や納屋など、貴族の住む城程では無いが、それなりに裕福な暮らしを想像出来る程は大きい館である。


その館の2階に大きく張り出したベランダに続く、これも大きな窓からの月明かりで照らされた部屋。

その部屋の真ん中には天蓋の有るキングサイズのベッド。


辺りはもう夜更けて使用人達は寝入っているが、そのベッドの上では揺れる二つの人影があった。


「うっ!も、もうだめだ!行きそうだ・・・」

とても大きな男の影が言う。


「ああ!・・・あなた!わ、わたしも・・・」

もう一つの女の影が吐息混じりに答える。


二つの影からは、激しい息遣い。


最終幕に向け二つの影は揺れ続ける。


パララパッパッパッパァー!


二つの影が同時に幸せの中に果てた瞬間、突然間抜けな旋律で大きなラッパの音が鳴り響き、部屋全体が眩しく白い光で包まれる。


先程まで二つの影であった男女は、ベッドの上で互いに全ての体力を使いきりグッタリと体を横にしたまま目を大きく見開き口もだらしなく開いたまま何が起こったのかわからず呆然とその裸体を晒していた。


「はぁ~い、オメデトウ!」


そこへ、いつの間にか大きく開かれたベランダの窓から、明るい声でゆっくりと拍手をしつつベッドへ近づいてくる純白に発光する人の形をした光の塊。

その後ろにつき従うような7色に発光する人型の光の塊が居た。


あまりの出来事に、ベッド上で固まっていた男女は、それでも、ハッ!っと正気に戻り素早く動く。


男はベッドから立ち上がり女を守るべく攻撃の構えをとり両の拳に力を溜め、女は自分の裸体を晒さぬ様に側にあったシーツで体を隠す。


「誰だ!賊かっ!!」


声から察するに女だとは判っていたが、威圧する様に怒号を飛ばす男。


その声は十分に力強く、並みの物盗りや暗殺者達であったらなら十分竦み上がり小便でも漏らして回れ右してしまいそうな圧力がある言葉であった。


だが、実際にはそうならず、言われた相手はそれどころかとてつもなく不真面目な、悪戯そうに歪んだ口元から信じられない言葉を紡いだ。


「いんえ、私は神様です!えっへん!!」


と間髪入れずにドヤ顔で・・・。


純白の光に包まれた者から出た言葉に、


「「・・・?」」


唖然とする男女の前で、純白の自称『神様』は、


「ほーっほっほっほっほ!」


と、右手を左の頬に逆手で掲げ高笑いを始めた。


段々と目が慣れてきた男女が見たのは、首周りに大きなファーの付いた白く輝くローブの前をはだけて、全裸と見間違う様な細い紐状の上下のビキニが胸元のありえない位巨大な二つの物体に食い込み、両腰に手を当て仁王立ちで立つ『どうみても露出狂』状態での女神と、7色のローブ(前ははだけて無いし服も着ている)に7色の光る羽を持った天使達の姿だった。

あれ?主人公は?

まだここまででセリフがあったのは、4人だけ(^^;

しかも名前も出て来てない・・・


勢いで書き始めましたが、ゆっくりと(月1回位)でも完結まで頑張るつもりです。

宜しくお願い致します。

※ルビ修正(2013/03/30)

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