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第三話

どうなるのか謎です。

計画って必要ですね


展開急すぎますか?

 ギルドの奥の一室にはケイディアとアリアそしてギルドマスターのメイスンがいた。

(凄く綺麗)

 それがアリアのケイディアを見た感想だった。ケイディアの方も予想以上のアリアの容姿に眼を見開いたものだ。

 髪は平民らしくややくすんでいるものの、整った目鼻立ちがそれを目立たせない。貴族に使える侍女と言われても誰も疑わないだろう。着飾れば令嬢とも間違われるかもしれない。

「はじめまして。アリア=セイルマンです」

「はじめまして。ケイディアです。今回はよろしくね。」

 そんなお互いの感想はしらず、簡単な紹介が終わり、今回の依頼についての話になった。

「依頼は護衛。エヴェドイールへの往復。予定は一週間。馬車と食糧などはこっちで準備するよ。何か質問は?」

 アリアはエヴェドイールと聞いてあまりいい顔をしなかった。エヴェドイールは奴隷たちの集まる町である。そしてその町の産業は、

「奴隷の売買……ですか?」

 それを質問と受けたケイディアは

「買うだけだよ。と言ってもお目当ての奴隷がいたらだけどね。復路は奴隷たちの護衛も頼むよ」

 と応えた。正直奴隷を売り買いする人達には関わりたくないのだが、やっときた依頼である。しかも前払いで受けた手前断ることも出来ない。

「……わかりました。いつ出発ですか?」

「出発は明日。今日は準備にあてるから。準備も一応付いてきて。要るものが在れば買うから」

「わかりました」

 とアリアが立ち上がった時にケイディアに待ったをかけられた。

「悪いけどその剣を見せてくれないかな? さっきから気になってたんだ」

 アリアは特に高い剣でもないので気にせずに抜き放って渡した。

「ふむ……これは買った? それとも造ってもらった?」

「造ってもらいましたけど」

「へぇ……。造った人はハラシャで合ってる?」

「ええ、合ってますけど」

 アリアはケイディアが何故そんなことを聞くのか不思議だったが、正直に答えていった。

「珍しい。よほど気に入ったのか」

 誰にも聞こえない声でぽそりと言う。

「ありがとう。知り合いの作に似てたから気になってね」

「そうですか」

 アリアは納得したように剣を受け取り鞘に納め、部屋を出ようとする。

「ああ、ちょっとマスターと話があるから表で待っててよ」

「わかりました」

 一旦立ち止まったが、返事をして今度こそ部屋を出る。


 部屋に残ったのはメイスンとケイディアの二人。

 メイスンは悩んでいる素振りを見せるケイディアに、もしやここで文句でも言われるのかと少々ハラハラしていた。

「……よう、坊主。話ってなんだ」

「ああ」

 そしてケイディアは今までの雰囲気とはガラリと変わってメイスンに向き合う。

「エルド傭兵ギルドマスター、メイスン=ガローヴァ。非常に良い人材を紹介してくれた。感謝する」

「お、おう」

 いきなりの豹変ぶりにさすがに戸惑う。

「どうした、改まって。少し気持ち悪いぞ」

「気にするな。公私を分けているだけだ。さてメイスン=カローヴァ、この依頼終了後にアリア=セイルマンを正式に引き抜きたい。如何か」

「そりゃ、まぁ、一応本人の意思を聞かにゃならんが……」

 いきなりの話に戸惑う。まだ顔合わせしただけなのだ。唐突にも程がある。

「ギルドとしては了承する、ということでいいか?」

「あ、まぁ。特に反対は無い」

「ではこの依頼書にサインを」

 差し出された依頼書にメイスンは驚いた。依頼主の欄に『ケイル=ヴェン=エルディン』とある。エルディンを名乗れるのは王家のものだけだ。しかも、御璽まで捺されている。

「っ! これは……失礼いたしました」

「良い、気にするな。アリアを欲するのは王家ではなく、ケイル個人としてだ。王位継承権は低いのに俺を押している輩が多くて困る。付いてくる護衛も欲に塗れたものもいる。苦肉の策だ」

 この国の王位継承権は正室、側室関係なく生誕順でケイルは第三位だ。しかし、一番上のハミルは継承権に胡座を掻き、第二位のセイミルは才能の点でケイルに劣る。第四位のミケルはまだ六つになったばかりである。

 ハミル派は権力欲に固まった者が多く、様々な問題を持ち込んでくる。セイルは自身の才能が無いのを自覚しており、ケイルを王にと動いていてハミル派を刺激している。御陰で身の危険が多い。ケイルの周りは、現時点で権力はないが、今の内に取り入っておこうとする者が八割、信のおけるものはわずか二割だ。信のおける者は下級騎士や下女などが多く、なかなか身の回りがままならない。

 引き抜きの依頼書に御璽が押してあるのはケイルのことを案じた王が、今回のように自分で信用できる者を採用する際に困らない様にとの配慮である。

「とはいえ、アリアは奴隷を買うのに抵抗があるらしい。素直に引き受けるかどうか……。とにかく俺からの要請ということは知らせずに頼む」

「は、確かに承りました」

 メイスンがそう返事をすると、また雰囲気が変わる。

「じゃぁよろしくね。僕はこっちが地だから。あのしゃべり方はあんまり好きじゃないんだ」

「はぁ……」

「僕のことは内緒。だから馴れ馴れしくして欲しいね。お願い、じゃなく命令」

 初めて話をする王族に少々困惑気味だが、ケイディアの雰囲気もあり、メイスンは苦労せずに切り替えができた。しかし、苦笑は抑えられない。

「わかった。アリアが戻り次第、伝えよう」

「お願いね。じゃ、アリアも待ってるだろうし行こうか」

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