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ちょっと雰囲気変わったな?って思うかもしれません
そのうち戻ります
「・・・で」
少女―かすみが愚痴る。肩には小動物―セラがのっている。
「なんで都会のビルの屋上にいるわけ?」
◆◇◆◇◆
「じゃあ、まず魔法少女について説明しようか」
「・・・」
無言でうなずく。この小動物―じゃなかったセラは、説明不足にも程がある。
「魔法少女とは、世界中の街を襲う概念【暴徒】の《迎撃》を目的とした少女たちの総称なんだ」
セラの話をまとめるとこういうことになる。
世の中には、普通の人には見えない【暴徒】という概念的存在がいるらしい。そいつらは世界中を常に徘徊していて、周期的に街を襲う。襲われた街に目に見える被害はほとんどないけれど、「【暴徒】に犯された街には不幸な結末を迎える」という伝説がはるか昔よりあり、実際によくないことがたくさん起きている、というデータがあるらしい。
「よくないことって?」
「それは言えない。細かいことは僕達にも分かってない不確定な情報だし、実際に起こった出来事をそのまま君たちに伝えるのはむしろ酷だからね」
それらの起こるか分からない不幸を防ぐために、魔法少女というシステムが出来上がった。
一定の年齢の少女に宿る力を利用し、暴徒を迎撃、撃退する。その対価に、少女たちの願いを叶える、ということだ。
「以上だよ。なにか質問はあるかい?」
「セラ・・・あなたは、一体何なの?」
「ああ、そうだったね。
ボクらは基本的に魔法少女のサポート役。なんでも頼ってくれ、と言いたいんだけれど・・・」
えへへ、とセラは笑う。
「ボクらのことも、守ってほしい。
ボクらは魔法少女のサポート・安全確保に特化していて、自分たちの身を守る手段がないんだ。そしてボクらはもちろん死にたくない。だから、守ってほしい」
誰かを守る。果たして自分にできるのか、不安だった。死にたがりの自分に、死にたらがない誰かを守れるか?わからない。でもこう答えた。
「分かった。死ぬ気で守る」
「死なないでね」
分からない。
「それで、私が聞きたいのはそういうことじゃなくて」
「ん?」
「あなたは、どういう生き物なの?犬でも猫でもない、喋れる動物」
「・・・」
セラの目が少し曇った気がした。
「少女に力を与える魔法の使者、じゃあだめかい?」
「・・・だめ。そういう秘密のある魔法少女のマスコットは信用できないって相場が決まってるんだから」
「随分と狭い相場だね。だれだい、そんなことを決めたのは?
とにかく、ボクは決して邪悪なものじゃない。君たちを巻き込む陰謀なんてものはないし、少なくとも魔法少女が戦いの最中で死んだ、という事例は聞いたことがない。ボクらが君たちに害を与えることは絶対にないと保証する。
だから、多少の隠し事は許してほしい」
「・・・分かった」
「【暴徒】の最初の襲来は明日だ。備えておくといい」
「明日!?早くない?」
「だからボクも急いでたんだ。もう夜遅いし、寝よう」
「・・・いや、昼寝た」
「昼夜逆転してるのか、睡眠を取っているのは健康的なんだろうけど・・・」
苦笑いするセラ。
「まあ、ゆっくりしておくといい。あ、あとそうだ」
「・・・?まだなにかある?」
「夜ご飯は食べた方がいい。お母さんが作ってくれたんだろう?」
◇◆◇◆◇
「・・・で」
「どうしたの?」
「なんでこんなところに?」
翌日。母親が仕事に出たあと、こっそり家を抜けた。
正直言うと家から出るのは抵抗があった。母親を騙しているようで悪いし、なんたってほぼ一年ぶりの外出だ。緊張しないほど心は強くない。
思えばまともに会話したのもかなり久しぶりだ。母親は夜勤で昼間は親子二人ずっと寝ているし、父は単身赴任。最後に長めの会話をしたのは心配した母がカウンセラーとかいう人を呼んだときぐらいだろうか。
夜の風が冷たい。
『Au pas camarades, au pas camarades!』
「何!?」
妙な歌声が聞こえた。日本語ではない。おそらく英語ではないはずだ。
「あれが【暴徒】だ」
『Au pas, au pas, au pas』
「・・・暴徒って一体だけだと思ってた」
少なくとも、こんな大軍は想定していなかった。
彼らは空中に隊列を組み、100人以上いるかもしれない、大声で歌を歌いながら更新している。
見た目は人間に近いが、顔がなんか変だ。歪で、笑っているように見えるし泣いているようにも見える。
見るからに軍服、というものを着ている。今の軍隊のものではないはずだ。中世くらいの、あの謎に大きい帽子を被り、青い服に白いズボン、手には鋭いものを持っている。銃剣だ。
『Au pas camarades, au pas camarades, Au pas, au pas, au pas.
Un seul oignon frit à l'huile, Un seul oignon nous change en Lion,
Un seul oignon frit à l'huile, Un seul oignon un seul oignon
Mais pas d'oignons aux Autrichiens, on pas d'oignons à tous ces chiens,
Mais pas d'oignons aux Autrichiens, Non pas d'oignons, non pas d'oignons』
急にピタリと止まり、こちらの方を向く。
『T'es qui, toi ?』
「・・・なんて?」
『Êtes-vous Autrichien ?』
「いや、分かんないん『si tu es Autrichien』なんて?」
『Je vais te tuer !』
「セラ、わかる?」
「フランス語はちょっとね・・・でも、最後は分かったよ」
「なんて言ってた?」
兵隊がザッと動く。銃剣が構えられ、銃口がこちらを向く。
「殺すって」
セラのセリフの地味な間にまどマギの説明が入ってます
あまりに場違いな会話なのでカットしました
フランス語パートはgoogle翻訳使ったので間違ってるかもしれません