神器獲得
引率さんに付いていった俺達がたどり着いたのは、無数の球体が壁一面に埋まっている謎の部屋だった。
どこを見ても球体という異様な空間に、俺達は驚愕の声を呟く。
見れる人が少ないんだと思うけど、流石に不気味だ。
集合体恐怖症の人は絶対に無理だな、どこを見ても球体だらけだし。
「うわ、気味悪いな………」
「同感だな。なんか不気味だ。」
小さい呟きに耳を傾けて、返答もしてくれた声の方向を見る。
真横に立っていたのは、俺様系のイケメン。キリッとした顔立ちは、あどけなさが残るものの、将来的には、更にイケメンになっているであろう美男だった。
瞳は金色、髪は普通の黒色という、アニメの世界にしかいないような色合いの瞳と、安心感を感じる髪色のコミケとかで見たらコスプレイヤーだと断言できるほどの容姿を持っている。
髪の色とかで言ったら俺も異質だけどな。右目が緑で、左目が紫のオッドアイだし。俺。
あの頃は学校でよくバカにされたものだぜ、気味が悪いって言われたりしたしな。
思い出に耽っていた俺は、唐突に響いた声に驚愕する。
「よくぞ来た!我が研究所の最奥、『神器獲得所』に!」
ビクッと体を震わせて叫び声に注目する。
白衣を着た老人が、テンションマックスで壁に埋まっている球体を7個、ぶっこ抜いた。
おお、マジか!?あれ取れるんだな!?
驚きに満ちた俺達だったが、ぶっこ抜かれた球体を持たされたことで我に返る。
これ、どうすんの?
疑問も同時にこの場に満ち始めたが、老人が木製の杖を掲げて、叫ぶ。
「目覚めなさい!我らに神器を!」
唾を撒き散らしながら老人が杖を振り回す。
きっしょ。あいつを病院行きにしたほうが良いんじゃないか?
そんな思いも束の間、手にした球体が光り輝く。
「うおおおお!?」
球体が眩く輝きを増し、徐々にその姿を変化し始める。
弓、銃、斧、メイス、パイルバンカーなど、一通り変形した後で一本の日本刀になって俺の手元に収まった。鈍色の刃は、電灯の明かりによって少しの輝きを放ち、何かの金属で出来ている事を表していた。
おお!?マジか!?これが俺の神器か!
感動に打ち震えながら、同時に生成されていた鞘に納める。
日本刀とか、かっこいいじゃん!………俺木刀しか使ったことないけど。
周囲を見渡すと、7人全員が何かしらの物に球体が変異していたことがわかった。
さっき話しかけてくれたやつは――――――デカ!?あいつの神器、大剣じゃねえか!
しかも何かの骨で出来てるやつ。切れ味悪そうだな。
「なぁ!見てくれよこれ!、めっちゃデケェ!」
大剣男子(仮称)が元気にこちらに話しかけてくる。
俺の神器も見せて、お互いに喜び合う。ウヒョー!と奇怪なダンスを踊りながらだが。
そうだ!アイツは!?
同じく名前を呼ばれた俺の親友のもとに向かう。
発見と同時に俺は飛びかかって肩を掴む。
「お前はどんなんだ!零!――――――WOW」
威勢よく親友に話しかけた俺だが、その言葉は徐々に勢いを無くし、いつしか英語に変わっていた。
なぜって?アイツの手元には神器が2つもあったからさ。
一つは黒の表紙で覆われた本。禍々しいオーラを放ってるけど大丈夫なんだろうか?
もう一つは白い柄を持ち、上部には球体が浮かぶ杖を手に持っていた。
瞬時に暴走した研究員たちに質問攻めに会い、俺達は意識を失った。
俺の神器はどんなんだろうな、能力とか。