第七話 アムステル島決戦⑦
男の剣捌きは苛烈さを増し、魔方陣による砦への攻撃は一向に止む気配はない。
ヴィールはまたしても防戦一方の状況に陥った。
(不味いな……このままいくと、長距離移動用転移魔方陣が発動する前に、我の魔力が尽きるな)
時間はまだ約7分。長距離移動用転移魔方陣が発動するまで後2分弱である。
だがしかし、ヴィールは既に己の魔力に限界を感じ始めていた。
「ッ!?」
突如として走る激痛。ヴィールは視界の左端に、己の左腕が舞っていたことに気がついた。
ヴィールの後方にはいつの間にか、斧を持った巨漢の豚頭がいた。
激痛による思考の遮断。その致命的で、一瞬の隙を聖剣を持つ男は見逃さなかった。
聖剣を持つ男はヴィールの胸筋を横薙ぎに切り裂いた。
ヴィールの左腕と胸から鮮血がほぼ同時に噴出する。
(仕方ない……最後の切り札を使うか……)
斧を振り下ろしてくる豚頭と聖剣で突進してくる男を気にすることなく、ヴィールは冥剣ヴェヒタールを地面へと突き刺した。
「ヴェヒタールよ、我が意思に応え顕現せよ」
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