第六話 アムステル島決戦⑥
「次から次へと」
ヴィールは魔方陣を生成する術者の位置を探る。
魔力を操ることができるヴィールにとって、魔力の位置を把握することは容易なことである。
ヴィールは術者に向けて、冥剣ヴェヒタールの斬擊を飛ばす。
森の遙か奥で爆発が起こり、人と土砂が空に舞う。
しかし_____
ブゥン!
数え切れないほどの魔方陣が、砦の上空に一瞬にして出現した
空が紫色の魔方陣で隙間なく覆われている。
「ッ!?」
事態はヴィールにとって、時間が経つごとに不利なものになっていく。
突如として森の奥から、剣を持った男がヴィールに向かって突進してきたのだった。
(こいつは)
それは予想外の出来事だった。ヴィールはその男の気配を捉えることができなかったのだ。
ヴィールは意識の半分を手に集中させ、空中に漂う魔力を手の中へと集める。そして、その集めた魔力を上空の魔方陣へと一気に放つ!
バアアアァァァン!!!
魔方陣が破壊されたことによって、魔方陣の魔力が暴発する。
ヴィールは魔方陣を破壊すると同時に、男の剣を冥剣ヴェヒタールで受け止める。
キイィンッ!キイイイィィィーーーーーー
金属と金属の衝撃音の後に、轟音のブレーキ音が発生した。
このブレーキ音は強大な魔力がぶつかり合った時に発生する音である。
(この男の持つ剣は……聖剣クロスカリバー!)
聖剣クロスカリバーは神代に造られた聖剣の一つである。
選ばれし勇者にしか持てない、邪神殺しの剣である。
(なぜ、この男が?)
その男は勇者では無かった。ヴィールは当代の勇者を知っており、魔のペンダントを処理する方法について語り合っていた。
剣戟の中でヴィールの頭の中に様々な疑問が浮かぶが、その疑問をヴィールは吹き飛ばす。それどころの状況ではないからだ。
【Pendant ~忘れられし英雄たちと戦いの物語~】を読んでいただきありがとうございます!
面白いと思ったらポイントの評価とブックマークの登録をお願いします!!