第五話 アムステル島決戦⑤
ヴィールは左手で掴んだ短剣に自身の魔力を込め、天座者の長へと投げつけた。
天座者の長は防御魔法を瞬時に展開したが、短剣は防御魔法を貫通し、天座者の長の胴体に風穴を開けて、森の奥へと吹き飛ばした。
「ぬうっ!」
「しっ!!」
体万族の長の棍棒と刃覇武族の長の大剣が同時に且つ豪速でヴィールの目前に迫る。
「冥剣よ、我が意志に応えよ」
ヴィールは冥剣ヴェヒタールに空気を纏わせる。
そして、刃覇武の大剣を避けて、空へと高く跳躍した。
ヴィールは空気を纏わせた冥剣ヴェヒタールで、体万族の長の太い首を斬擊で吹き飛ばす。
コントロールを失った巨体がグラリと揺れる。
「おっと!」
刃覇武族の長はヴィールへと豪速の斬擊を飛ばす。
ヴィールはその斬擊を体万族の長の肩を蹴って、さらに空上に跳躍して回避する。
刃覇武族の長が放った斬擊は、体万族の長の胴体を二分にし、雲を切り裂いた。
空中へと跳んだヴィールは斬擊を再び放とうとする刃覇武族の長に向けて、体万族の長の棍棒を蹴って飛ばす。
刃覇武族の長は1㌧もある棍棒を避けようとするが、右足に激痛が走って身体の動きを止める。
「!?」
右足にはヴィールの冥剣が突き刺さっていた。
刃覇武族の長は大剣で右足を切断しようとしたが、時既に遅し。
㌧の棍棒が、身体を地面へとプレスした。
「おい、我はお前の姿を一度も見失ってないぞ?」
ヴィールは背後にいた神武族の長の拳を見ないで掴み、そのまま粉砕する。
「ぐ、ぐおぅっ!!」
神武族の長はヤケクソで左の拳を放とうとするが、ヴィールはそれよりも速く右フックで神武族の長の頭蓋骨を粉砕した。
ここまで、わずか10秒満たず。
ヴィールは一瞬にして、戦闘民族の長たちを倒したのであった。
ヴィールは冥剣ヴェヒタールを手元へと引き寄せて、一息つこうとするが……
突如として、空に巨大な魔方陣が出現した。
「次から次へと」
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