第四十九話 真夜中の戦い⑧
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シャリエッツはアーケラの言葉を信じ、アクセルペダルを強く踏み込んだ。
メーターの針は右いっぱいを指し、魔導車のエンジンからは悲鳴が聞こえ始める。
「アーケラ嬢!最高速度になりました!」
「! わかりました!」
アーケラは自宅から持って鞄から、一つの四角い物体を取り出した。そしてその物体を膝上に置き、手をかざし詠唱をし始めた。
「封印解除」
四角い物体はの活きの良い魚の様にピョンピョンと何度か飛び跳ねると、小さな魔法人形へと変化した。
シャリエッツは驚いた。多種多様な魔法人形を見て来たが、ぬいぐるみサイズの魔法人形は見たこと無かったからである。
アーケラは魔法人形の頭の上に手をかざし、魔法人形の光を発する双眸を、ジッと見つめた。
「ごめんね。最低なお願いだけど」
魔法人形はアーケラは意志を汲み取り、コクッと頷いた。そして、魔導車の後方にある窓から、勢いよく外へと飛び出した。
「アーケラ嬢、一体何を____
「衝撃に備えてくださいっ!!」
「!」
窓から飛び出した魔法人形は風に煽られつつ、ルテス・ムアの構成員が運転する魔導車のフロントガラスへと張り付いた。
「なんだコイツはっ!?魔法人形か!?」
「銃で撃ち壊せ!!」
助手席に乗っていた男が、魔法人形に向けて銃を乱射する。魔導銃の銃弾は魔法人形の身体をバラバラにしたが、次の瞬間____
ドオオオォォォォンッ!!
「ぐわああああっ!?」「ああああー!?」
アーケラの魔法人形は閃光と一緒に魔力爆発を引き起こした!
爆発の直撃を受けた魔導車は炎上し、他の魔導車を巻き込みながら後方へと消えていった。
「大胆な女性は好きですが、これは些か……」
爆風に煽られ、シャリエッツの魔導車が右方へと傾くが
「大胆過ぎるっ!」
シャリエッツはハンドルを右へと回し、見事のハンドリングによって魔導車を走行を安定させた。
「すみません、シャリエッツさん」
「先程の爆発は魔法人形によるものですか、アーケラ嬢?」
「はい、魔法人形の制作に携わる者として、あまりこういう使い方はしたく無かったんですが……」
アーケラは魔法人形の核に入れた低級精霊に、魔力を暴走させて敵をやっつけてと、苦渋の思いで頼み込んだ。
魔法人形の核にいた低級精霊はアーケラの願いを聞き、自身の魔力を暴走させることで自身の身体を爆散させ、アーケラ達の命を守った。
「ふぅ……どうやら、ルテス・ムアやら【真の赤き竜】という追手は来なさそうにない」
「……そうみたいですね」
アーケラは割れたバックドアガラスから後方を見るが、後ろから付いてくる不審な車や、魔力の様なものはない。
アーケラとシャリエッツは、肩の力をようやく抜くことが出来た。
「どうですかアーケラ嬢?私の運転テクニックは」
「凄かっ____
「夜のテクニックにも自信がありまして、気になりませんか?よければ次の目的地の宿で____
「いえ、全然気になりません。やかましいので黙ってくれません?」
「(´;ω;`)」
【ペンダント ~忘れられし英雄たちと戦いの物語~】を読んでいただきありがとうございます!
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